新エネ鉱相に前運輸相 ジョナン氏が返り咲き アルチャンドラ氏、副大臣で復帰
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は14日、8月から空席になっていたエネルギー鉱物資源相にイグナシウス・ジョナン前運輸相を任命した。二重国籍疑惑で退任し、大統領の任命責任を問う声が上がっていた前任のアルチャンドラ・タハル氏を副大臣として復帰させた。
イスタナ(大統領宮殿)で2人を任命したジョコウィ大統領は「共に、エネルギー鉱物資源分野の大規模改革を担うにふさわしい、勇敢で才能ある人物と確信している」と語った。新人事について「個人的、政治的な(動機)はない」と強調した。
国鉄(KAI)社長だったジョナン氏は14年、ジョコウィ政権で運輸相に就任し初入閣。中国が受注したジャカルタ〜バンドンの高速鉄道計画などを担当した。7月の内閣改造で退任したが、思わぬ形ですぐさま国政に返り咲くこととなった。
任命式のわずか2時間半ほど前に、ジョコウィ大統領から連絡を受けたというジョナン氏。運輸相時代、7月のレバラン(断食付き明け大祭)帰省に伴う中部ジャワ州東ブルブスの渋滞で死亡事故が起きたことなど、記者団から過去の責任について問われると、「(エネ鉱相として)前向きに歩んでいきたい」と述べた。
約20年にわたり米国を拠点にしていた元エネルギー会社社長のアルチャンドラ氏は、7月27日の第2次内閣改造でエネ鉱相に抜てきされ初入閣。ところが直後にインドネシアと米国の二重国籍が発覚し、わずか20日で退任した。ルフット・パンジャイタン海事調整相がエネ鉱相の代行を務めていた。
アルチャンドラ氏はエネ鉱相を退任後、米国籍を離脱し、法務人権省が9月1日付で同氏のインドネシア国籍を回復した。
副大臣として復帰を果たしたアルチャンドラ氏は記者団の前で、「ジョナン氏のエネ鉱省での任務を全力で支えたい」と決意を述べた。国籍問題は解決済みとの認識を示し、「インドネシア国民として、国に戻り、国に仕えるというのが私の結論だ」と語った。
イグナシウス・ジョナン
1963年シンガポール生まれ。53歳。カトリック。アイルランガ大経済学部卒。米タフツ大フレッチャー法律外交大学院修了(国際関係修士)。2001〜08年バハナ証券社長。06〜08年米系シティバンクで投資銀行部門担当取締役。09年国鉄(KAI)社長。14年9月ジョコウィ政権で運輸相就任、ことし7月第2次内閣改造で退任。
アルチャンドラ・タハル
1970年西スマトラ州パダン生まれ。46歳。イスラム。バンドン工科大機械工学部卒、米テキサスA&M大学で海洋工学博士号取得。米コンサルティング会社の社長を務め、ことし7月第2次内閣改造でエネルギー鉱物資源相就任。8月二重国籍発覚で解任。(木村綾、アリョ・テジョ)