824地方条例「不適切」 内相、改定・撤廃を要請 地方分権化の弊害是正狙う 徴税分野で不満多く

 ガマワン・ファウジ内相は23日、中央ジャカルタの大統領官邸で記者団に対し、内務省がこれまでに精査した13520の地方条例のうち、824条例が法律など上位の法令に適合していないとして、全国の地方自治体に改定・撤廃を求めた。強権的な中央集権体制を敷いたスハルト政権崩壊後、民主化の象徴として地方分権化が進められたが、中央と地方の連携不足や行政の非効率化、金権政治のまん延など弊害が表面化している。ガマワン内相は特に徴税分野に関する条例で経済界から不満が挙がっていると指摘。投資誘致に影響が出るなど経済開発の障害にもなっているとして、中央政府は弊害の是正を目指している。
 ガマワン内相は中央政府は地方自治体に直接、条例の改定や撤廃を命じる権限はないとした上で、「各自治体が地方議会と協力し、法の改定・撤廃に努めるよう求める」と強調。2013年末までに新たに1500の条例について、法律との整合性などの精査を行うという。
 ガマワン氏によると、改定・撤廃すべきと判定されたものの中で徴税に関する条例が最も多く、次いで寛容性や多様性について規定した法律に反する条例が多かった。
 ガマワン氏は法律と適合していないと判定した条例の具体例として、地方税に関する法律(2009年第28号)で車両燃料税は最大10%と定めているにもかかわらず、12%の徴税を定めていた条例があったと明らかにした。
 地方条例の中には、イスラム法(シャリア)に基づいて女性の夜間外出を禁止するなど、多様性を重んじる憲法に違反しているとみられるものもある。バンテン州タンゲランや西ジャワ州バンドン、インドラマユなどでアルコール飲料の扱いについて定めた条例など、一部はすでに内務省が撤廃を決めているが、自治体側も反発し、憲法裁判所に提訴する動きなども出ている。
 インドネシアでは現在、33州、398県、93市の計524自治体があり、そのうち約4割に当たる205自治体が1999―2009年までの10年間で新設された。05年からは州・県知事、市長の直接選挙も開始した。
 ユドヨノ大統領は16日の国家演説で、地方分権化を表現の自由などと並ぶ民主化の成果として評価。一方で、2009年から自治体の新設を凍結するなど、急速な分権化による弊害の抑制を図っている。
 内務省は条例の判定のほかに、州知事や副市長の公選制の廃止を盛り込んだ法改正方針を示すなど、中央政府の統制強化へ向けた働き掛けも行っている。

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