住民が守る熱帯林 再生事業が最終段階に
ジョクジャカルタ特別州グヌンキドゥル県パリヤン郡で2005年に始まった「熱帯林再生プロジェクト」がこのほど、最終段階の第3期に入った。第1〜2期では、保護林の再生、維持を目的にした植樹活動、住民が収入を得るための農業技術支援、伐採防止のための環境教育などを実施。20年まで続く第3期では、違法伐採を防止するため、産業利用のための植林を新たに実施する。
プロジェクトは、三井住友海上火災保険と同社の現地法人アスランシMSIGインドネシアのCSR(企業の社会的責任)活動の一環。インドネシア環境林業省と連携して実施してきた。
第3期では、地元住民主体の森林維持・管理を目指すととともに、パリヤン地区周辺で産業利用のための植林を推進する。具体的には、5〜7年で伐採できるファルカタの苗木を年間1万本、住民に配布して植林・育林法を指導。植林、伐採、販売という持続可能なサイクルを根付かせる。
森林の維持・管理のための支援、住民の環境教育なども引き続き実施するが、今後は州政府や大学、農業組合、住民グループらが主体になるという。
第1期(05年4月〜11年3月)では、パリヤン野生動物保護林内350ヘクタールに、ジャワ島在来種の果樹など30種、約30万本を植樹。森林資源への経済的依存度を下げるため、比較的短期間で収入を得られるマンゴーなどの果樹も合わせて植樹した。さらに第2期(11年4月〜16年3月)では、現金収入が得られるよう、トウガラシなど商品作物の栽培技術を支援し、伐採防止につなげてきた。
10月3日には2期終了と3期開始を記念した式典が、同州庁舎で開かれ、ハメンクブウォノ10世(スルタン=王)知事から、三井住友海上火災保険の黒田隆取締役・専務執行役員に感謝状が贈られた。
同知事は「連携事業が環境を守る動機となり、ゆくゆくは森林そのものが地域社会に経済効果をもたらすようになるよう願う」と語った。また黒田取締役は「地球全体にとって大切な財産であるパリヤン野生動物保護林をこれからもしっかり育て、守っていくことが必要だ」と話した。(毛利春香)