3割は「危険な歩道橋」 ジャカルタ 老朽化で腐食、破損

 南ジャカルタ・パサールミングで24日、歩道橋が崩落、4人が死亡した事故は、築14年の歩道橋の老朽化が原因の一つとされる。ジャカルタ特別州内にある歩道橋は約320カ所で、その多くは老朽化が進んでいる。「歩道橋の3割は危険な状態にある」と市民団体が警鐘を鳴らすように、記者が訪れた西ジャカルタの歩道橋も、不十分な補修による腐食や破損が目立った。
 その歩道橋は、西ジャカルタのドゥタ・マス、ATTホテル近くにある。築10年は経過しているとみられ、階段上り口の土台部分は表面のセメントがはがれ、中に詰められているレンガがむき出しになっている。
 金属製の階段表面には黒っぽいさびが各所に見られ、腐食で直径2センチ程度の穴が空いている場所や手すりが外れている箇所もあった。幅1メートル程度の水路をまたぐようにして立つ鉄柱とその土台部分も腐食、破損が目立つ。
 この歩道橋については、27日付日刊紙コンパスが「とりわけ危険」と報じ、付近に住むボイさん(25)も「電線と手すりが密着しており、スパークしないかが心配。手すりもさびて破損しており、強風にあおられて落ちる恐れもある」と心配顔だ。
 一方、歩道橋の下の食堂で働くラディアンさん(30)は「1日千人以上は使っているだろう。事故らしい事故は起きたことがないから、これからも大丈夫だろう」と笑った。
 ジャカルタ特別州内の歩道橋は全部で318カ所。管理主体別の内訳は、州運輸局282カ所、国営高速道路管理・運営ジャサ・マルガ26カ所、国鉄10カ所。
 歩行者のための環境改善を目指す市民団体「歩行者連合」によると、同特別州内の歩道橋の3割は、老朽化や周辺の環境などにより、危険な状態にあるという。
 警視庁の調べでは、崩落した歩道橋は築14年が経過、老朽化しているにもかかわらず、州運輸局は2012年を最後に補修工事をしてなかった。
 同局の歩道橋補修用予算は年間約68億ルピア。警視庁のモハマド・イリアワン監察官は「歩道橋補修のための予算が正しく使われていたかを調べる必要がある」と語り、予算が適正に執行されていたかどうかを捜査する方針だ。
 崩落原因については、歩道橋に取り付けられた看板が強風と豪雨であおられたためとの指摘もある。
 特別州内の歩道橋のうち、看板付きは59カ所。うち52カ所は崩落した歩道橋と同様、州政府の許可を受けていないことが分かっており、州運輸局はこれら無許可看板を順次撤去するという。(平野慧、写真も)

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