交渉妥結でデモ収束へ ブカシ最賃 労使、149万1000ルピアで合意 州知事決定と同水準
西ジャワ州ブカシ県の二〇一二年最低賃金をめぐる問題で、労組側は二十七日、県内の工業団地や周辺地域で数万人を動員し、大規模デモを行った。デモで企業の生産活動がまひ状態となったことを受け、政労使の代表は同日夕方から夜にかけ協議を実施。最低賃金の下げ幅を昨年末の州知事決定とほぼ変わらない水準にとどめ、労組側はこの問題で法に反するような実力行使にでないとすることなどで合意した。大規模デモによる工業団地入居企業への示威行為や高速道路の封鎖など、今月十一日から続き、インドネシアへの投資ラッシュに水を差しかねない問題は、今回の合意で収束に向かうことになる。
会合はハッタ・ラジャサ経済担当調整相が仲介し、中央ジャカルタの同調整相事務所で行われた。ムハイミン・イスカンダル労働移住相、イマム・スジャルウォ国家警察副長官、アフマッド・ヘリアワン西ジャワ州知事、州知事決定を通じて出された今年の最低賃金の無効を求めた行政裁判の一審で勝訴したインドネシア経営者協会(アピンド)幹部、全インドネシア労働組合総連合(KSPSI)、インドネシア金属労連(FSPMI)などのブカシ県支部代表、日系を含む県内七工業団地の代表らが出席した。
午後五時から三時間以上にわたった協議の末、労使双方の代表は、(1)ブカシ県の最低賃金を百四十九万一千ルピア(州知事決定では百四十九万千八百六十六ルピア)、繊維などのセクター2は百七十一万五千ルピア(同百七十一万五千六百四十六ルピア)、電機、自動車などのセクター1は百八十四万九千ルピア(同百八十四万九千九百十四ルピア)と、六百四十六―九百十四ルピアの下げ幅で合意し、ブカシ県知事を通じ、この合意に基づいた新最低賃金に関する決定を出すよう西ジャワ州知事に要請する。
これと並行し、西ジャワ州知事は、州知事決定の無効を認めた判決に対する控訴を取り下げる(2)実際に新最低賃金を支払う能力がない企業に対し、最賃支払いの猶予要請を申請するための猶予期間を与える(3)労組側は、今回のような混乱を招くことはせず、対話に基づいた協議を続け、違法行為や治安を乱すような行為に走らない(4)賃金保護に関する政令一九八一年第八号、適性生活水準(KHL)に関する労相令二〇〇五年第一七号の見直しに向けた協議を行う―の四点で合意。四つの労組のブカシ県支部代表とアピンド側のハリヤディ・スカムダニ副会長らが合意文書に署名した。
会合後の記者会見で、ハッタ調整相は「このような状況が続けば、製造業は打撃を受けるため、許容することはできず、すぐに解決しなければならない」と仲裁に入った理由を説明した。
日系を含む県内企業の従業員らが参加したデモでは、オートバイの隊列が各工業団地を周り、高速道路を封鎖するなどして、工場の操業を妨害。団地内の入居企業は、大半がこの日の操業を取りやめ、日系企業の生産活動にも大きな影響が出た。