アジアのハブ空港に 4割のみ完成、店舗も一部 新第3ターミナル開業スカルノハッタ空港
ジャカルタの空の玄関口、スカルノハッタ空港(バンテン州タンゲラン)の新第3ターミナルが9日、操業を開始した。国営ガルーダ・インドネシア航空の国内線が運航を開始したが、完成しているのは全体の約4割。飲食店や土産店の営業も一部にとどまる。来年3月までに国際線全線が移動し、年間旅客数2500万人を見込む国内最大のターミナルとなる。
荷物検査を受け空港内に入ると、床や天井に光が反射し、きらきらと輝いていた。できたばかりの新しい建物の匂いがする。搭乗口エリアは一面ガラス張りで開放感があり、ガラスの向こうに駐機している飛行機が見えるため、乗客の多くが記念撮影をしていた。ガルーダ航空や国営空港管理第2アンカサプラの職員が笑顔で乗客を案内していた。
新ターミナルから最初に飛び立ったのは、9日午前1時20分発パプア州ジャヤプラ行きの654便。2便目は同40分に北マルク州テルナテへ向かう648便だ。
チェックインを済ませたばかりのイスマイルさん(37)と同僚のザムザムさん(37)は、仕事でジャヤプラへ向かう。普段は第2ターミナルを使用することが多いという。イスマイルさんは「新しい空港に入って驚いた。きれいで広くて明るくて、とても良い。インドネシアはすごい、頑張っているんだ、と感じた」と笑顔で話す。
イスマイルさんがうれしそうにチケットを見せてくれる。搭乗口13番と搭乗時刻午前1時の文字はピンクのマーカーで塗られていた。
「夜中の便だけど、気持ちよく仕事に行けそうだよ」と新ターミナルがすっかり気に入った様子。654便は定刻通り、パプアへ向け飛び立った。
■乗り換えも簡単に
ガルーダ航空のアリフ・ウィボウォ社長も9日、搭乗口から1便目を見送った。アリフ社長は「新第3ターミナルは『ハブ空港』として機能するようになるだろう。東南アジアだけでなく、アジア全域をつなぎ、国際的な需要を取り込んでいきたい」と話す。
ガルーダ航空はことし中に全国際線を新ターミナルに移動させる。従来より国内と国際線の乗り換えがしやすく、簡単になるため、利用者にとって使いやすいターミナルになるという。
ブディ・カルヤ・スマディ運輸相も同日、新ターミナルを訪れ、「年間100万人の外国人旅行客をもてなしたい。観光省とも協力し、『観光の玄関』にしていきたい」と話した。
新第3ターミナルは年間旅客数2500万人を見込む。第1、2ターミナルの計2600万人を合わせると計5100万人の収容能力を持つ。第2アンカサプラは今後、第1、2ターミナルの改装を進めていく。
新ターミナル開業に合わせ各航空会社が使用するターミナルも一部変更となり、12日から徐々に移行を始める。旧第3ターミナルは新ターミナルの一部として工事するため、すべての航空会社が移行した後に一時閉鎖となる。
旧第3ターミナルを使用していたライオンエアの国内線は第1ターミナルBに、ライオンエアの国際線とエアアジアは第2ターミナルEに移動する。日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)など海外の航空会社が利用している第2ターミナルDでの変更はない。ガルーダ航空の国際線も新ターミナルに移動するまでは以前と変わらず、第2ターミナルEを使う。(毛利春香、写真も)