伝統市場に「特売所」 ジャカルタ特別州 ラマダン商戦、牛肉や砂糖

 ラマダン(断食月)需要で食品価格が上昇している。ジャカルタ特別州はショッピングセンターのほか、州内20カ所の伝統市場内にコメや肉などを安売りする売り場を特設し、まとめ買いする客で盛況。一方、「高品質」を売りにする市場の商人は、値下げせずにラマダン商戦に臨む。

 ジャカルタ特別州は需要が増えるこの時期に毎年、州内各地で「ジャカルタ・グレート・セール」と題する最大7割引きの特売を行っている。ことしはショッピングセンター78カ所に加え、「市民が生活必需品を安く買えるように」(アホック知事)と伝統市場20カ所でも初めて実施することになった。
 州営パサールジャヤが運営する伝統市場の一つ、中央ジャカルタのゴンダンディア市場。8日午前8時、敷地内に特設された販売テントにはブカ・プアサ(1日の断食明け)やレバラン(断食月明け大祭)用の食材を求める人だかりができていた。
 コメ5キロに牛肉2キロ、鶏肉1キロ、卵1キロ、唐辛子1キロ、食用油1キロ……。主婦のワルダさん(32)は「いつもは市場(の常設店)で買うけど、こっちの方が安いから」とブカ・プアサの食事用に10袋分をまとめ買いした。
 特設テントで売る肉は冷凍もので、牛もも肉の場合、伝統市場の常設店より3〜4割安い1キロ8万5千〜8万9千ルピア。2キロ買ったメンテンの主婦、アニ・クサンティさん(40)は「ここは安くて助かる。市場(の常設店)で買うと新鮮だけど高い」と話した。

■常設店への影響
 一方、同市場内の常設の肉売り場に店を持つ4人の店主にラマダン中の牛肉の価格を聞いたところ、1キロ11万〜14万ルピアに据え置くと答えた。いずれも品質には絶対の自信を持つが、同8万ルピア台で売る特設テントを意識せざるを得ない。
 同市場で25年働くアディン・タリガタさん(62)は「うちはスラバヤやバリなどの国産肉。あっち(特設テント)の冷凍肉は輸入物で古い」と話す。スヘルマンさん(31)が売る牛肉は1キロ13万ルピア。「チャクン(東ジャカルタ)から仕入れた新鮮な肉。レバランに向けて客が増えるから、値下げはしない。最大14万ルピアまで値上げする可能性もある」とあくまでも品質で勝負する構えだ。
 「ルンダン(牛肉の煮込み料理)用に、500グラムちょうだい」。ベビーシッターのヌルル・カサナさん(25)が声をかけると、その場で肉の塊を切り分ける。「いつもここで買う。おいしいし、特設テントで買うには並ばないといけないから」。ただ、1キロ単位で販売する特設テントではまとめ買いが目立つのに対し、常設店では少量の購入が多い。
 パサールジャヤによると、同市場の特設テントでは7日、約1770万ルピアの売り上げがあった。8日は、午前10時までに牛もも肉や赤タマネギ、卵、砂糖に「売り切れ」の札が貼られた。
 白砂糖は特設テントで1キロ1万4千ルピアに対し、エヴァ・クルニアワンさん(60)の同市場内の常設店では同1万6千ルピア。「30年間やってきて今が最も高値」という。
 特設テントでの安売りはレバラン後の来月17日まで続く。(木村綾、写真も)

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