観光や運輸 外資緩和 多業種で100%認める ネガティブリスト改正の詳細公表
投資調整庁(BKPM)は外資企業の出資比率を定めた投資ネガティブリストの改正版となる大統領令(2016年第44号)の詳細を公表した。規制緩和は観光や運輸、小売業で多岐にわたったほか、リストから外し、一気に外資100%まで認める業種も複数あった。中小企業や国内産業を保護しながら東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体(AEC)のグローバル競争を意識した。
政府は2月に経済政策第10弾としてリストを改正し、外資企業に門戸を広げる方針を発表しており、このほどジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が大統領令に署名、18日に施行した。これまで適用されていた2014年のネガティブリストは無効となる。
農業や林業などは国内産業保護のため、大きな改正はなかった。公共事業など一部業種ではASEANからの投資を優遇するASEAN枠を設けた。
公共事業分野では、500億ルピア以上の大規模工事や、技術力が求められる建設業に対して67%の外資出資を認めた。建設コンサルタント事業は100億ルピア以上を認めた。
観光業は大幅に緩和された。旅行代理店業などのほかにホテルや博物館、娯楽施設、国際会議場・展示施設などのMICE施設など、観光客を呼び込む業種の緩和は多岐にわたった。運輸業の緩和業種も多く、外資の力で港湾業務や物流の円滑化を促進する。
商業施設では、400〜2千平方メートルまでのデパート事業を条件付きで外資を67%まで認め、小規模の小売業へ門戸を広げた。ほかに職業訓練施設の緩和や病院、クリニック施設に外資規定を設けた。
2月に外資へ門戸を広げると公言していたレストラン業や廃棄物処理業、冷凍保管業など一部業種は完全にリストから外され、100%外資が認められたとみられる。
また、2月に外資100%を公言していた電子商取引は、条件付きで49%に制限された。(佐藤拓也)