1人1人の目線に立って 高田真里経済公使
ことし1月に在インドネシア日本大使館に着任した高田真里公使(49)。経済公使として日系企業とインドネシア政府の橋渡し役となる高田さんは、外務省でテロ対策や文化交流などに携わった経歴を持つ。「大局的な外交も重要ですが、これまでの経歴から、1人1人の目線から外交を考えていくことが向いていると思っています」と語る。
専門語は中国語。幼いころにNHKアニメ「マルコポーロの冒険」など当時のシルクロードブームに魅せられ、目を向けたのは欧米などよりもアジア。「横文字が苦手で英語コンプレックス」で、大学時代には中国山東省へ留学。その後中国語で外交官試験を受け、外務省に入省した。
2006〜08年にパキスタンに勤務。テロ事件や銃撃、ブット元首相の暗殺などが相次ぎ、「通勤時でさえも気が抜けなかった」。現地でたくましく生活しているパキスタン人や邦人との交流の経験は宝物と振り返る。
香港の総領事館勤務時に発生した東日本大震災では、「香港の皆さんと政府の温かさ、支援に協力してくださった日系企業のご厚意は忘れません」と熱を込める。
その後、本省で邦人テロ対策室長を担当した後、文化交流・海外広報課長に就任、伝統文化からコスプレ・マンガまで広範な文化の対外発信に携わった。
ジョコウィ政権については、迅速な結果を重視する傾向があると分析。「日本の携わる案件は正確に詰めるなどの理由でどうしても時間がかかってしまうことがある」
今後も重要インフラ案件があるインドネシア。高田さんは「経済公使として身の引き締まる思い。さまざまな人と会って現地の肌感覚をしっかりつかみたい。大使館は敷居が高いとの印象があるかもしれませんが、何でもお困りの場合には、どうかご遠慮なく顔を合わせてでも電話やメールででも教えていただけるとうれしいです」と語った。
趣味は音楽でジャンルは問わない。ジャカルタには最近始めたロードバイクを持参した。ダイビングも好きだという。(佐藤拓也)