CSR 全社に義務付け 国会審議 10月法案可決目指す
国会(DPR)は企業の社会的責任(CSR)を明確に定義、義務化する法案を審議し、10月ごろまでに可決を目指している。企業が社会的責任を遂行することにより、貧困率、失業率の改善につなげたい考え。これまでインドネシアの会社法には明確にCSRの義務化を明記する条文はない。複数の地元メディアが報じた。
CSRを義務化する法案は、地方代表議会(DPD)が提案している法案の一つ。同法案ではCSRへの拠出金に対する税金の位置づけや、活動内容の範囲を定義する。企業に対してCSRの最低拠出額を義務化する規定も検討する。
国会第8委員会(社会、宗教、女性問題担当)の議員によると、利益分の2〜3%をCSRに拠出することを検討しており、すべての国営・民間企業を対象にする方針。これまでCSRの活動を公開する義務がなかったが、義務化を検討する。
経営者は反対している。経営者協会(アピンド)のハリヤディ会長は「CSR活動は企業の自主性を重んじるべき」で、定義することではないと強調。たばこ製造大手HMサンプルナのCSR担当部門のヘニー・スサント氏は経済紙コンタンに「これまでもCSR活動に従事してきたが、仮に会社の利益の1%を拠出するとなると、かなり大きい数字だ」と語った。
現在のCSRに関する法律は、2007年の会社法第40号の中で、天然資源を扱う企業は環境問題の責任を持つ、といった記載があるほか、投資家は自主的にCSR活動をすることが求められる、といった漠然とした条文となっており、義務化を明記するものはない。(佐藤拓也)