不動産業の活況続く アパート賃貸価格、前年14%上昇 第2四半期の中銀統計
中銀がこのほど発表した統計で、不動産業界の活況が改めて鮮明になった。アッパーミドル層がマンションを買い急ぎ、在留外国人は空き賃貸マンションを探し求めている。一方で、賃貸・販売価格とも急上昇しており、景気過熱を指摘する声も上がっている。(田村慎也)
中銀が700以上の不動産業者からの対面式インタビューをまとめた商業用不動産統計によると、ジャカルタの賃貸マンションで、今年第2四半期の賃貸価格が前年比14.61%上昇を記録した。1カ月の平均賃貸価格は首都圏で平米当たり17万3620ルピア(約1400円)。賃貸価格は、2008年末から平米当たり15万ルピア台とほぼ横ばいで推移していたが、昨年第4四半期から大幅上昇に転じた。
ジャカルタの賃貸マンションの数は今年第2四半期時点で1万1782戸。前期から変わらなかった。需要の大半は外国人によるもので、外国投資拡大に伴う在留外国人の増加が主因だ。ジャカルタ中心部の商業地区(CBD)では日本人と韓国人が大半を占めていると中銀は指摘する。首都圏の入居率は77.62%。ジャカルタで改装中のアパートが多く、前年比で1.88ポイント上昇した。
■分譲マンションは急増
ジャカルタの分譲マンションの数は第2四半期に2140戸増え8万2683戸になった。平米当たりの販売価格は平均1610万ルピア(約13万5千円)で前年同期比38.13%の上昇。CBDでは2170万ルピア(約18万円)、それ以外は1430万ルピア(約12万円)となった。より高層の建物を好むようになったライフスタイルの変化が価格上昇をもたらしていると、中銀は分析している。
■住宅金融の競争激化
商業銀行報告書(LBU)によると、不動産向け融資は前年同期比22.08%増の337兆3200億ルピアとなった。商業銀行の貸し出しのうち、不動産向けが14.25%を占めている。
国際協力機構(JICA)東南アジア・大洋州部の玉垣謙一氏は「インドネシアの住宅金融は過熱気味になっている」と指摘する。金融機関の住宅向けローンの競争が激化しており、当初の固定金利が10%を切るようなものや、20年のローンも登場していると話す。
バブルを懸念する中銀は、銀行が提供する住宅ローンを物件価値の70%以下とする頭金規制を6月中旬に導入。しかし、不動産業者は30%以上を義務付けられた頭金の支払い期限を最大6カ月まで伸ばすなどして対応していることから、販売に大きな影響は出ていないと分析している。
■工業用地価格は倍
バンテン州を除く首都圏(ジャボデタベック)の工業用地の販売価格は今年第2四半期に、前年比で99.62%上昇した。前期比では34.38%増で、平米当たり194万654ルピアとなった。
工業用地の賃貸価格は、前年比12.38%、前期比9.68%上昇し、1カ月で平米あたり4万947ルピア(約340円)。
投資家は、日本、韓国、マレーシア、シンガポールからがほとんどで、倉庫建設が64.4%、工場建設が35.6%の割合となっている。業界別では、自動車関連、製薬、スペア・パーツ、その他製造業、食品、繊維が多い。