ブカシで再びデモ 高速封鎖、工場侵入も 最賃問題
西ジャワ州ブカシ県の二〇一二年最低賃金をめぐり、経営者協会(アピンド)と労組が対立し、アピンドが行政裁判所に今年の最賃の無効を求める提訴をしていた問題で、提訴の取り下げを求める金属労連(FSPMI)、全国労働者連合(SPN)などが十九日昼ごろから、ブカシ県のEJIP(東ジャカルタ工業団地)、ジャバベカなどの工業団地でデモを展開した。デモ隊は周辺の高速道路を封鎖し、一部では入居企業の敷地内に押し入り、従業員に強制的にデモ参加を呼び掛けた。デモにより、ブカシ県内の工業団地では一部の企業が操業を停止。生産活動に影響が出た。
高速道が封鎖されたため、チカンペック高速道は大渋滞となり、同日、ジャカルタで開かれた日系企業関係者向けセミナーなどにも欠席者が相次いだ。
十五日には、問題の収束を図るため、警察などが仲介し、政労使の三者会談を実施。アピンドが提訴を取り下げることで合意したが、十九日に公判が続行されたため、労組側は「アピンドは約束を破った」として、報復的なデモ行動に出た形だ。
ブカシ県チカランのジャバベカ工業団地では、十九日午後からデモが行われた。ジャバベカ社によると、工業団地内に入居する従業員ら数千人が団地内の広範囲に渡り、午後四時ごろまでデモを繰り広げた。破壊、暴力行為などはなかったという。
デモ隊は午後一時ごろから活動を開始。入居企業を回って、各社の従業員に対してデモに参加するよう要求。数回にわたって各社を訪れ、要求を繰り返した。その度にデモ隊は増えたという。
EJIPでもデモが行われた。約一万三千人の従業員を抱えるインドネシア・エプソン・インダストリー(IEI)社には同日午後、二度にわたりデモ隊が押しかけた。一度目は五十人ほどが入り口の鉄門を倒すなどして、強制的な形で従業員に仕事をサボタージュし、デモに参加するよう呼び掛けたため、一部の従業員が参加した。
二度目は別の団体が押しかけ、裏側から敷地内に侵入。オートバイで敷地内を走り回り、倉庫などにも入って、従業員に勤務を停止するよう強要した。その過程で、建物のドアを蹴り飛ばしたり、部品の入った箱を倒したりしたという。
デモ隊のコーディネーターで、金属労連(FSPMI)のバリ・シリトンガ氏は、デモの理由について、「アピンドが行政裁判所への提訴の取り下げをすると約束したが、まだ取り下げていない」と語った。
デモ隊は 数万人規模で、同日正午から午後五時ごろまで、ブカシ県のすべての工業団地でデモを行ったという。
同氏によると、アピンドと労組の代表は同日夜、緊急会合を開催。シリトンガ氏は「アピンド側が提訴を取り下げると決めたため、二十日のデモの予定はない」と語った。
■タンゲランでもデモ
またバンテン州タンゲラン市でも十九日、労働者によるデモが行われ、道路を封鎖するなどの騒ぎとなった。
デモ隊は、市当局に対し、すでに定められた今年の最低賃金の支払いを企業が確実に行っているかどうかを監視するよう要求。順守していない経営者に対して、断固たる措置を講じるよう訴えた。