50年後に高速鉄道譲渡 運輸省と企業連合が合意 2019年5月開業目指す 建設許認可は未発行
中国とインドネシアの企業連合が1月に起工したジャカルタ〜バンドン間の高速鉄道の計画で、運輸省と企業連合の高速鉄道インドネシア・中国(KCIC)社は16日、高速鉄道の運営権について定めた「コンセッション」契約に調印した。高速鉄道の開業日を2019年5月31日と明確に決め、その50年後にKCICから政府へ譲渡する。当初計画から変更を加えた投資額や事業内容なども盛り込んだが、建設許認可はまだ発行されておらず、運輸省は慎重に調査を進めている。
イグナシウス・ジョナン運輸相によると、運営権をインドネシア政府から純粋な国営企業ではない企業に委ねたコンセッション方式を採用するのは初めてのケース。コンセッションについては、運輸省とKCICで時期や期間に関して折り合わず合意に時間がかかっていた。19年5月31日の開業に向け、19年初旬の完工を目指す。
調印内容には、投資額や事業内容なども盛り込まれている。路線が修正され、契約額は以前の55億ドルから51億ドルに変更した。鉄道の総距離を10キロほど短縮し、142.3キロに設定。
当初計画にあったガンビル駅(中央ジャカルタ)がなくなり、ハリム駅(東ジャカルタ)、カラワン駅(西ジャワ)、ワリニ駅(西バンドン)、トゥガル・ルアル駅(バンドン)の4駅となる。
中国の国家開発銀行の融資割合などは変わらない。ジャカルタからバンドンまでの運賃は1人20万ルピアで1日あたりの乗客数は1年目で2万8千人を目指す。
しかし発行手続きが滞っている許認可はまだ未了だ。ジョナン運輸相は「KCICが率先して許認可発行のための書類を提出してくれることを期待している」と述べ、許認可の発行に時間がかかっていることについて「インドネシアにとって初のプロジェクト。注意深く調査する必要がある」と忠告した。
運輸省は現在建設許認可を5キロの区間だけ発行しているが、運輸省のヘルマント・ドウィアトモコ鉄道総局長は「他の場所は最初の5キロほど簡単ではない。地形が複雑な部分がある」と指摘。「まもなく建設に関わる許認可の発行を終える」としている。
KCICのハンゴロ・ブディ・ウィリャワン社長は地元メディアに「建設に関わる許認可を取得し、4月初旬には工事を始めたい」と希望を語った。(佐藤拓也)