アホック氏に包囲網 闘争民主党 出馬要件厳格化へ
来年2月の統一地方首長選で実施されるジャカルタ特別州正副知事選で、現職のアホック氏独走を阻止しようとする勢力が包囲網をつくろうと画策している。無所属の独立候補としての出馬を目指すアホック氏に対し、与党・闘争民主党(PDIP)は政党政治を軽視する「脱政党化」だと批判。法改正による出馬要件の厳格化で対抗する構えを示している。
アホック氏はこのほど、闘争民主党のメガワティ党首と会談し、独立候補として出馬する意向を伝えた。現職副知事を擁する同党の支持獲得も視野に入れていたが、アホック氏は同党が条件として提示した党公認候補となることを拒否。他党にも支持を呼びかけながら、あくまで独立候補として戦う決意を表明した。
これに対し、闘争民主党は政党を軽視し、弱体化を引き起こす「脱政党化」だと批判。他の主要政党を取り込み、地方首長選挙法(2015年制定)改正で「アホック阻止」を図る考えを示している。
国会第2委員会(内政・法律)は、政党の地方首長候補者の擁立要件は地方議会の政党連合の議席20%か前回選挙の得票数25%となっており、前回選挙の有権者数の7.5%の支持とする独立候補の出馬要件より厳しく設定されていると指摘。「法改正で不公平感を緩和する必要がある」(同委のルクマン・エディ委員長)としている。
こうした動きに対し、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は15日、地方首長選挙法改正案は党利党略ではなく、あくまで地方首長選の改善を目的に審議すべきだと強調し、アホック氏の出馬妨害を狙う動きをけん制した。
非政府組織(NGO)「リンカル・マダニ」のライ・ランクティ代表は、地元メディアに「法改正で大政党が地方首長選を独占することにもなり得る」と警告。政党への不信感が強まるなか、「アホック現象」はアホック氏の施策を評価し、政党を介さず独立候補を支持する市民の運動だと指摘した。
政党からの批判について、アホック氏は政党を軽視するわけではないと反論。法改正については「国会が出馬に必要となる有権者数を7.5%から10%に引き上げたとしても、100万人の住民登録証(KTP)を集めればクリアできる」と自信を見せた。
支持団体「トゥマン・アホック」は昨年末までに約53万2千人のKTPを収集。ペアを組む副知事候補が最近、知事時代のジョコウィ氏の側近も務めた州地方財政運営局長のヘル・ブディ・ハルトノ氏に決まり、あらためてKTPを集めている。
2012年の知事選でも、経済学者のファイサル・バスリ氏が独立候補として出馬し、ゴルカル党など政党の候補を上回る票を獲得している。(配島克彦)