【火焔樹】不安が自信に変わった
松坂大輔投手がプロ野球界にデビューした年、日本の球界でプレーしていたイチロー選手と初対決し、3三振に切って取った。試合後のインタビューで松坂投手は「プロでやれる自信が確信に変わった」と今も語り継がれる名セリフを残した。
話は変わるが、お掃除クラブのメンバーの中学生の兄妹が通う中学校で、全生徒900人が全校掃除を行った。驚いたのは、みんな班ごとにモップ掛けやほうき、机を並べる係に分かれていた。日本の掃除当番を体験してきた兄妹が自分の学校へ持ち込んだものだった。そしてもっと驚いたのは、教室の前には靴箱が置かれ、生徒の靴が並べられている。教室へ入る前には、靴を脱いで入るようになっていた。
日本で何に一番驚いたかと言えば、お掃除クラブのメンバー全員が声をそろえたのは、下駄箱の靴が一糸乱れずきちんと並べられていたことだった。早速、驚きだけで終わらせず、自分たちの学校に持ち帰ったのは、お掃除クラブを率いる者として、感無量であった。どうかこの良き習慣が根付いていってほしい。
この学校で掃除活動をした日、ネット上であるインドネシアの小学生が先生に宛てた手紙が大きな反響を呼んだ。「どうして先生はポイ捨てした子に注意しないのかなと思います。ポイ捨てがいつまでも続いていたら、いつまでたってもよくならないし、周りの人に迷惑がかかる。そして、悪い習慣は大人になっても消えずに、ポイ捨てをする人は減らないし、環境のことについて考える人は誰もいなくなると思います。地球だってどんどん壊れていくし、平和な世界も訪れないと思います。壊れていくものを平気で見ているとすれば、戦争で殺し合ったり、傷つけあったりしても平気な人になってしまいます」
この記事と靴箱をみて松坂投手の言葉を思い出した。正直、自信があって始めた活動ではないが、「不安が自信に変わった」。(ジャカルタお掃除クラブ代表デワント・バックリー)