議長喚問は非公開 「密会記録は非合法」 国会査問委
国会査問委員会は7日、米系鉱山フリーポート・インドネシアの契約更新をめぐる裏交渉で倫理違反に問われたスティヤ・ノファント国会議長(ゴルカル党)を喚問した。しかし審理は「密会記録は非合法」と主張するスティヤ氏の要望を聞き入れ非公開で実施。疑惑に関する同委の質問には答えず、非難が集中している。
この日、国会査問委前の通路には約100人の警備隊が配備され、押し寄せる報道陣を阻止。スティヤ氏は午前9時の審理開始予定から約5時間遅れ、午後2時ごろ姿を見せた。
査問委はスティヤ氏の要望を聞き入れ、審理を非公開にすることを決定。各テレビ局が半日生中継したスディルマン・エネルギー鉱物資源相やフリーポートのマルフ・シャムスディン社長の公開審理と異なる処遇に報道陣から批判が殺到した。
査問委によると、スティヤ氏は24ページにわたる反論文を読み上げ、証拠として提出された音声記録は法的根拠がなく、これに基づいたスディルマン氏、マルフ氏の証言は事実に反すると主張した。
地元メディアによると、疑惑発覚後、スティヤ氏はグリンドラ党のプラボウォ氏の私邸で野党連合幹部と協議。ゴルカル党のバクリー党首、福祉正義党(PKS)のソヒブル・イマン党首、開発統一党(PPP)のジャン・ファリズ党首らに自身の過失はないことを説明し支持を取り付けた。
さらに野党連合の査問委員を入れ替え、審理を有利に進める準備を整えた。議長室に閉じこもり、査問委工作に明け暮れるスティヤ氏に対し、与党議員からは国会幹部の署名が必要な重要法案の審議も放置されているなどと苦言も出ている。
スティヤ氏と密会に同席した実業家レザ・ハリッド氏の喚問は、マルフ社長と同じ日に予定していたが、レザ氏は欠席、その後も応じる姿勢を見せていない。
一方、最高検は同疑惑について、スティヤ氏らは株式を不当に要求するなどしたとして、共謀罪などの疑いで捜査に着手。マルフ社長やスディルマン・エネ鉱相を参考人として事情聴取した。
スディルマン氏は7日の聴取後、「国会査問委で説明したことをあらためて伝えた。スティヤ氏は国会議長や議員としての倫理違反だけでなく、刑事責任も問われるべきだと思う」と述べ、最高検の捜査に協力していく方針を示した。
疑惑究明に向け素早く反応したプラセティヨ検事総長は連立与党のナスデム党に所属。自身も北スマトラ州知事の汚職隠ぺいに関与した疑いが持たれている。最高検の捜査は国会の野党連合の動向などにも影響を与えそうだ。(配島克彦)