269州県市で9日投票 初の統一首長選 準備大詰め
9日に全国各地で同時に行われる史上初の地方統一首長選の準備が大詰めを迎えている。9州224県36市の全269自治体で実施。総選挙委員会(KPU)は国民に投票を促すため、9日を公休に指定した。警察も各地で警備を強化して混乱の防止に備えている。
東ジャワ州スラバヤ市では、闘争民主党(PDIP)などが擁立した現職のリスマ市長(出馬で停職中)とウィスヌ・サクティ・ブアナ氏、民主党と国民信託党(PAN)が推薦したラシヨ氏とルシー・クルニアサリ氏の2組が正副市長の椅子を争う。
リスマ市長は市民から絶大な人気を誇るが、東ジャワ高検が選挙期間中に、市場再開発事業での職権乱用で容疑者認定するなど、多方面からリスマ降ろしを画策する動きもあった。
ジャカルタ日本人学校(JJS)があるバンテン州南タンゲラン市では、現職アイリン・ラフミ・ディアニ市長(出馬で停職中)が再選するか、注目が集まる。アイリン市長は、医療機器調達をめぐる汚職事件への関与を疑われて、汚職撲滅委員会(KPK)が聴取するなどしたが、その美ぼうで一番人気との見方が強い。
西ジャワ州デポック市では、PDIPやナスデムが擁立したディマス・ヌグロホ氏とババイ・スハイミ氏、グリンドラ党らが擁立したイドリス・アブドゥル・ショマッド氏とプラディ・スプリアトナ氏の2組が争う。
バリ州デンパサール市では、PDIPが擁立したイダ・バグス・ライ氏とイ・グスティ・ングラ・ジャヤ氏のペアら3組が競う。
3カ所で単独候補
今回初めて1組しか出馬しない「単独候補」の自治体も3カ所ある。東ジャワ州ブリタル県、西ジャワ州タシックマラヤ県、東ヌサトゥンガラ州北ティモール・トゥンガ県では、KPUは選挙ではなく住民投票を実施。有権者は単独候補の選挙を認めるか否かを投票。賛成が過半数を超えた場合、単独候補が当選することになった。
警察も警備体制を整えている。西ジャワ州デポック市では、投票日には投票所を中心に1700人の警官を配備する予定だ。候補者の支持者らによる抗議運動も予測されており、交通渋滞の発生を回避するため、交差点などにも警察官を配備する。
今回の首長選は全国各地で同日に行う史上初の試みとなる。政府は各自治体でばらばらだった選挙日程を統一することで、選挙費用の節減や選挙への関心を高めることを狙う。将来的には全自治体での同時開催を計画しているが、選挙日程を合わせるために任期を切り上げて再出馬を余儀なくされた首長もおり、反発も少なくない。(藤本迅)