「日イに心のきずな」 「経済に加え安保も」 谷垣・自民党総裁
自民党の谷垣禎一総裁は十一日午後、ハッタ・ラジャサ経済担当調整相との会談を前に、じゃかるた新聞の取材に応じ、総裁就任後初の外遊について、「二年前に野党となった自民党の総裁に選出された当初、党をどうやって手直すかで手一杯で海外へ行くゆとりがなかった。ゆとりができたというわけではないが、今は国際関係を見直す必要がある。その中でもASEAN(東南アジア諸国連合)、特にASEANの中心国であるインドネシアは日本にとって極めて大事な国だ」と述べ、インドネシアとの関係を重視する姿勢を示した。
インドネシアを初の外遊先の一つに選んだ理由について、東日本大震災の被災地である宮城県でインドネシア人看護師候補者が勤務先の病院の入院患者ら百二十人を上階へ誘導し、その後一週間にわたって避難者を支え続けたというエピソードを披露。「日本とインドネシアの間には心の触れ合うきずながある。まず日本の政治家としてお礼を言わなければならない」と語った。
一九九八年からの大蔵政務次官在任時代に、アジア通貨危機で国際通貨基金(IMF)の管理下に入ったインドネシアが経済を立て直す過程を見てきたと振り返り、「(当時から)IMFやG7(先進七カ国)などの場で、アジア(の利益)を意識しながらの発言に努めてきた」と強調。
「ODA(政府開発援助)などを含め、両国は今まで経済的な連携を深めてきた」と述べた上で、「最近では外交・安全保障面での連携の重要性も強まっている。南シナ海の領海問題やマラッカ海峡の航行安全の問題をどうしていくかは見過ごせない。特にマラッカ海峡の航行安全はインドネシア抜きに語れるはずがない」と指摘した。
昨年の中東・北アフリカ諸国の相次ぐ政変を受け、「平和で民主的な国家を作り、イスラムと民主的国家は矛盾するものではないことを体現するインドネシアは、中東諸国に対してもリーダーシップを発揮しようとしている。そういった面も含めて、これから関係を密にしていく必要がある」と評価した。