気球で「クラウド」も へき地向けネット実験へ グーグルと国内通信大手
米グーグルは28日(インドネシア西部時間29日未明)、インドネシア国内で気球を利用した無線インターネット接続の実験を来年から開始すると発表した。通信大手のテルコムセル、インドサット、XLアクシアタの3社と提携。へき地の島しょ地域や農村などネット未普及地域での実用化を図る。
グーグルは、気球を利用したネット接続事業を「プロジェクト・ルーン」と名付け、2013年6月からニュージーランドで実験を開始。気球を地上18〜20キロ上空の成層圏に漂わせて地上に電波を発信し、インターネット接続を可能にすることを目指している。
米サンフランシスコで行われた提携調印式には、プロジェクト・ルーンのマイク・キャシディー代表、ルディアンタラ通信情報相、テルコムセルのリリック・アドリアンシャ最高経営責任者(CEO)ら3社の代表が出席。マイク氏は会見で、実験開始から1年後の実用化を目標に掲げ、「アチェ州サバンからパプア州メラウケまで多くのインドネシア国民がインターネットを利用できるようにする」と意気込みを語った。
国内でのネット普及率は総人口の約3割と言われており、主に島しょ地域や農村部など基地局設置が難しいへき地向けの活用を目指す。天災で通信網が使えなくなった際の代替手段としても期待される。実用化後のサービスは提携3社が行い、高速通信規格LTEの使用を予定している。
プロジェクト・ルーンでは、基地局設置などインフラ工事が不要なため、廉価でのネット使用が可能になる。グーグルは新たなネットユーザーの確立と、それに伴う広告収入など大きなビジネスチャンスと考えている。グーグルはニュージーランド、オーストラリア、ブラジルの現地通信社と組んで実験を開始しており、今年7月にはスリランカ政府ともプロジェクト・ルーンを利用したインターネット敷設事業の提携を発表している。(藤本迅)