利下げ来月期待も ルピア高・低インフレ・米利上げ予測後退

 中銀がことし2月以来初めての利下げに動くとの期待が高まっている。ルピア高や低インフレ、米国の利上げ見通しの後退など、国内外とも利下げがしやすい環境が整ってきたためで、次回の中銀月例理事会(11月17日)に注目が集まる。
 経済紙インベスターデイリーは専門家の見方として「(中銀は)ことし0・25%下げる可能性がある。もし実現すれば資本流入は昨年よりも10〜15%増えるだろう」と利下げの環境が整いつつあり、景気浮揚のため市場は利下げを望んでいると報じた。
 中銀のミルザ副総裁は地元メディアに「経済指標が金融緩和可能であることを示していれば、今後実施する」と利下げに前向きな姿勢を示した。
 利下げ期待が高まる背景には、米国の利上げ予測時期の後退や最近のルピア高のほか、消費低迷により、インフレ率など国内の経済指標が「改善」していることがある。
 10月27、28の両日に開かれる米国の金融政策を決定する連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げを見送るとみられている。当初は9月利上げとの観測が強かったがずるずると後退し、今では来年に持ち越しとの見方が強まっており、短期的にはルピア買いの材料となっている。
 また先週には中国人民銀行(中央銀行)が金融緩和を決めたほか、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁も追加緩和を示唆したことが、インドネシアを含む新興国に資金が流れこむ要因となっている。
 国内経済指標では、ことしのインフレ率は3・6%(中銀予測)と前年の8・36%よりも大幅に低くなる見込みとなった。昨年赤字だった貿易収支も黒字が続き、1〜9月までの累計で71億3千万ドルの黒字。昨年は3・1%だった経常赤字の名目国内総生産(GDP)比もことしは2・1%ほどになる見込みだ。
 それに加えて、ルピアの対ドルレートも今月に入って8%以上上昇。これまでルピア安と景気低迷で身動きが取れなかった中銀だが、利下げで政府を援護する環境は整ってきたといえる。 
 ただアグス中銀総裁は23日、「インドネシア経済の基礎的条件は改善している」とした上で「外部のリスクを認識しなければならない」と早急な金融政策の変更には慎重姿勢を示した。
 リスクとしては中国の景気減速や米国の利上げ、商品価格の低迷を上げ、「材料がそろえば、政策を変更する」と述べるにとどめた。(堀之内健史)

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