インドマートで支払い可能に トコペディア サービス・広告強化で事業拡大
ネット通販最大手のトコペディアがソフトバンクの出資などを基に積極的に事業を拡大している。トコペディアはこのほど、コンビニエンスストア最大手のインドマートと支払い業務に関する提携を結んだ。最寄りのコンビニで代金支払いが可能になる。サービスや広告の強化で、浸透が遅れていたジャワ島以外の島々にも事業を展開する計画だ。
これまで、トコペディア利用者はネット上でクレジットカードや銀行口座を通じて支払いをする必要があった。これからは国内にある約1万店のインドマートで直接代金を払うことが可能になり、利便性が向上する。トコペディアのメリッサ副CEO(最高経営責任者)は「銀行口座がなくても快適にオンラインショッピングを楽しむことができる」と強調する。
ネット通販と小売り業者の支払い提携では中国の電子商取引(eコマース)最大手アリババのインドネシアサイトがアルファマートと、楽天インドネシアがインドマートとそれぞれ協力している。
インターネット・サービス業者協会(APJII)によると、2014年のインターネット利用者数は前年比1781万人増の8800万人で、総人口の34.9%に達した。しかし、ネット利用者を対象にしたeコマースの利用頻度に関する調査で、「eコマースを利用した」と回答したのは27%だった。
会社員シティさんは「支払い方法の選択肢が増えて良い。オンライン上の取引だとネット口座がハッキングされる可能性もあり、直接支払いができた方が安心だ」と指摘した。
■商機広げる
トコペディアは昨年10月、ソフトバンクなどから総額1億ドルの出資を受け入れると発表した。ウィリアム・タヌウィジャヤCEOは出資金を人員拡大と人材育成に利用する計画だ。さらに、今回のインドマートとの提携を皮切りに、物流の不備で配送が出来ないなど問題があり、eコマースの浸透が遅れているスマトラ、カリマンタンなどジャワ島外の島にも利用者を広げ、各社に先行して全国展開を狙う。ウィリアムCEOは「現在、毎月750万回の商取引がある。今後はインドネシア全土へ商品を届けたい」と述べた。
■宣伝効果に期待
「CIPTAKAN PELUANGMU(あなたのチャンスを作ろう)」。ジャカルタ特別州内ではトコペディアの決まり文句を印刷した緑色の大型看板広告が目に止まる。交通量が多い目抜き通りのスディルマン通りに架かる歩道橋の看板広告など主要看板スポットはトコペディアで埋め尽くされている。
西ジャワ州バンドン市では、トコペディアのキャラクターがペイントされた公共交通機関アンコット(乗り合いバス)が走る広告塔として注目されている。バンドン在住の主婦スリさんは「毎日、目にするため、宣伝効果は大きいだろう」と語った。(小塩航大、写真も)