第3弾ひとまず好感 ルピア反発も短期的か 再来週まで 第4弾発表
燃料・電気料金値下げなど、即効性や明快さを重視した経済政策パッケージ第3弾を受けた8日、ひとまず市場は好感した。政府は近く第4弾も発表する予定で、米国の利上げ予想が後退していることもあり、下落していたルピアや株価が急上昇したが、反発は短期的なものとみられている。
プラモノ・アヌン内閣官房長官は政策発表後に「第4弾を来週か再来週には発表できる」と述べた。政府は先月9日の第1弾から矢継ぎ早に経済政策を発表。今週のルピアの対ドルでの急上昇について地元メディアでは、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが遠のいたとの観測に加えて、市場がパッケージを好感したためとの報道が目立つ。
ルピアの対ドル中銀参照レート(JISDOR)は8日、256ルピア高の1万3809ルピアとなった。8月24日以来約1カ月半ぶりの1万3000台。中国人民銀行(中央銀行)が8月11日に人民元の切り下げを実施して以降、ルピアは急落していたが、今月5日以降は急上昇している。ルピアとともに急落していたインドネシア証券取引所(IDX)の総合株価指数(IHSG)も9月29日に4120を付けてからは上昇し、8日は4491で終えた。
ただ反発は一時的なものだとの見方が強い。三菱東京UFJ銀行ジャカルタ支店の西仲崇行副支店長は今後のルピア動向について、「需給を考えれば、今後もルピア安の傾向が続く。1万4000台を挟んでもみ合いになり、年末にかけじりじり下がる」と指摘。地元メディアでも今のルピア高傾向は続かず、年内は1万3500〜1万4600前後で推移するとの予想が目立っている。
経済政策パッケージ第3弾については産業界から評価する声が出ている。
石油化学企業の団体インドネシア・アロマ・オレフィン・プラスチック協会(イナプラス)のファジャール・ブディオノ事務局長は第3弾を歓迎すると述べた。加盟企業ではガスがMMBTU(百万英熱量単位)あたり1ドル下がるごとに生産コストが3〜5%減るという。
さらに深夜の電気料金3割値下げにより、24時間操業の場合、コストはさらに5%減るとの見通しを示した。ファジャール事務局長は「(ガス値下げが始まる)1月には(顧客に)良い価格を提示できるだろう」と楽観した。
肥料業界以外のガス価格の値下げ幅は今後発表する。加盟企業は生産コストの35%をガス料金で占めるというセラミック関連産業協会(アサキ)のエリサ・シナガ会長はMMBTUあたり少なくとも1.5ドル下げるよう求めている。(堀之内健史、佐藤拓也)