国会が港湾汚職を調査 作業部会設置へ 第2ペリンドの警察捜査と並行

 国会第6委員会(国営企業など担当)は国営港湾第2ペリンドの汚職疑惑などに対処するため、各委員会を横断する特別作業部会を設ける。警察による汚職捜査が進む一方で、国会が始動することで貨物滞留問題などに絡む複雑な利権対立がさらに深刻化する可能性もある。

 地元メディアによると第6委は14日、特別作業部会設立を各委員会に呼びかけることで合意。同委に加え第3委員会(法務など)と第5委員会(運輸・インフラ担当)、第9委員会(労働・移住など)、第11委員会(開発計画、金融など)からメンバーを集め、25人の部会とする。
 部会ではジャカルタ・インターナショナル・コンテナー・ターミナル(JICT)の共同運営権の契約更新問題、クレーン調達に絡む汚職疑惑などについて調査する。港湾問題は運輸省や商業省をはじめ、複数の分野や省庁にまたがっており、国会も委員会単独では対処できないと判断した。国会側の窓口として警察との連携を深める狙いもある。
 国家警察は先月、クレーン調達汚職疑惑で同社のリノ社長の部屋などを家宅捜索。関係者20人を取り調べており、将来的にリノ社長を事情聴取する方針を示している。
 ブディ・ワセソ国家警察刑事局長が国家麻薬委員会(BNN)委員長に異動されたのも、第2ペリンドの汚職捜査を主導したためとの見方が強い。カラ副大統領は第2ペリンドの捜査に難色を示し、リノ社長を擁護する一方、与党・闘争民主党(PDIP)は外資との共同運営権の契約を更新した同社長に批判的だ。
■新聞広告を問題視
 閣内の足並みもそろっていない。内閣改造で入閣したリザル・ラムリ海事調整相はリノ社長の責任追及を後押ししている。第2ペリンドが14日、日刊紙コンパスや経済紙ビスニス・インドネシアなど複数の新聞に出したタンジュンプリオク港の新ターミナル、カリバル(ニュープリオク)のカバー広告についてリノ社長を名指しして批判し、「自身の劣勢を挽回する目的で数十億ルピアの予算を広告費に使った」と矛先を向けた。
 リザル調整相は就任直後、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領の指示を受け、貨物滞留時間短縮のための7施策を発表。先週にはオランダ植民地時代に造られた港湾鉄道を第2ペリンドが利権のために閉鎖したと指摘し、線路を覆っているアスファルトを剥がす作業を開始させた。
 リノ社長は15日、地元メディアに対し、リザル調整相の一連の批判に反論した。新ターミナルの広告はこれまで10回ほど主要紙に掲載しており、関係機関の代表のコメントを紹介することで投資家や国民に港湾整備の進ちょくを伝えることが目的だと説明した。
 また線路閉鎖は鉄道よりトラック輸送の効率性を重視した結果であり、鉄道に反対しているわけではないと強調。港湾鉄道整備の遅れはコンテナ・ターミナル周辺の土地収用が完了していないからだとし、「鉄道用の土地は1ヘクタール用意してある。運輸省が土地収用を終えれば、すぐにコンテナ駅を建設する」と反論した。
 国内最大の港湾であるタンジュンプリオク港の滞留時間短縮はジョコウィ大統領が優先課題として挙げている。同港を運営する第2ペリンドをめぐっては複雑な利権が絡んでおり、港湾運営効率化を進めるにつれ利害関係者間で対立が深まりそうだ。(堀之内健史)

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