【火焔樹】お掃除文化の源流
お掃除クラブが日本へ行くことになった。一介のごみ拾いボランティアが日本へ行けるなんて信じられない気持ちでいっぱいだ。僕が卒業した東京の小中学校を訪問し、お掃除の時間を体験する。設立当初から参加していたインドネシアの中学生2人は、僕が通った中学に体験入学する。
日本のごみ拾いボランティア「グリーンバード」との共同活動や多摩川の掃除にも参加する。日本でも昔は、ポイ捨てが行われていたが、変わったのはどうしてか、その理由の一つが学校のお掃除の時間にあると考え、日本式お掃除文化の源流をメンバーに知ってもらいたいのだ。
その他にも、東京のど真ん中で日本の人たちとごみ拾いをすることにより、お掃除クラブの活動は間違いないんだと、メンバーたちのモチベーションアップを期待している。
言葉の上では「きれいにしよう」とか「時間を守ろう」は世界共通の概念でも、そこにはその土地の文化に影響された日常的に繰り返される行いがあり、既に固定化されている身体的な振る舞いのほかに、考え方や精神的、心理的な傾向も含み、なかなか変えることができない大きな壁がある。そんな壁をお掃除クラブのみんなと乗り越えたい。
日本の義務教育を終えた僕にとって、日本的価値を追求し、インドネシア的価値へと変貌させていくことは、まさに夢としていたこと。ましてや、人格が形成された幼少期、少年期に通った学校にお掃除クラブを引き連れていくことは、万感胸に迫る思いだ。
帰国後、ジャカルタの小学校に日本の学校のようなお掃除の時間を定着させる活動をすることで、新しいインドネシア的社会通念を創り出し、究極はインドネシアの文化になっていくことを新たな使命としたい。
チャンスを与えてくれたのは国際交流基金。われわれの使命を少しでも具現化させることで、恩返ししたいと思っている。(ジャカルタお掃除クラブ代表デワント・バックリー)