福島の桃と梨いかが 県とJA、風評払拭でPR

 福島県の観光交流局とJA全農福島は3日、南ジャカルタ・クマンにある料理学校「アーモンド・ズッキーニ」で特産の桃と梨をインドネシアに紹介するセミナーを開いた。地元のメディア関係者ら約40人が参加し、福島県産の桃と梨に舌鼓を打った。

 セミナーではJA新ふくしまの加藤忠雄果実センター長が、栽培方法や徹底した放射能検査による安全性について詳しく説明。桃や梨以外にも、サクランボやイチゴ、ブドウなど年中旬の果物が食べられる点や温泉、特産の日本酒など観光地として福島の魅力もアピールした。
 試食会では中央ジャカルタにある日本料理店「鳳月」の高井大樹料理長が、桃と梨の皮のむき方や食べ方、バリ産オリジナルのワイン「ハッテンワイン」とインドネシア産のバニラビーンズを使った、果実を甘く煮る「コンポート」の作り方を紹介した。そのまま梨や桃を食べるだけでなく、香りのよい皮を使って香りをつけた紅茶や薄く切った梨でジャワのカステラを包んで焼いたものなど、福島とインドネシアをコラボレーションさせたスイーツを提供。インドネシア人には「桃が新鮮でとても甘い」「梨の食感が良い」と好評だった。
 今回は福島県産の桃と梨を計1トン輸入。中央ジャカルタのモール「グランドインドネシア」や南ジャカルタのモール「ロッテショッピングアベニュー」などにある「ランチマーケット」5カ所で13日まで限定販売する。

■風評被害に負けない
 福島県は2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う原発事故の影響で、広がる放射能汚染の風評被害に頭を抱える。現在、同県産の野菜や果物、畜産品で、放射線量が安全基準を超えたものは一つもないが、国内外とも販売が進んでいない。震災以前に桃などを販売していた台湾や香港から輸入を規制されるなど、欧米やアジアでも未だに放射能汚染のイメージが拭い切れないという。
 一方、12年にタイ、13年にマレーシアへの輸出を開始し、インドネシアでは昨年に続き2度目の販売。東南アジアでの巨大な食の市場に注目しているという。桃は傷みやすく空輸するためコストが高く、インドネシアでの販売価格は1個約1000円で下げるのは難しいが、桃や梨をきっかけに福島を知ってもらい、観光客の誘致も狙う。
 同県の観光交流局県産品振興戦略課の鈴木勉課長は「人の手で大切に育てられた安全で高品質、そしておいしい桃と梨をインドネシアで味わってほしい。福島の復興が進んでいることや努力している姿を見せるとともに、支援していただいた感謝の気持ちとして返していきたい」と話した。(毛利春香、写真も)

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