【火焔樹】若者が動かなきゃ
インドネシア大学日本人文学部日本語学科主催の学園祭にお掃除クラブが呼ばれた。会場のごみ拾いを頼まれた。たこ焼き、お好み焼き、ドラえもん人形、ガンダムのプラモデル、Jポップ、おみこし、そして緑のTシャツを着たお掃除クラブの面々。最近ジャカルタのあちこちで開催されている日本祭りには欠かせないもの。お掃除クラブにとっては光栄極まりない。
ボランティアを集めてくださいとの依頼に、はっきりとごみ拾いは学生がやりなさいと答えた。どう考えても、大学生主催のイベントに、働く人が中心のお掃除クラブのメンバーにごみ拾いをやらせるわけにはいかない。明日のインドネシアを担う学生が中心に活動してこそ意義があると考えた。
メーンステージに上がり、集まった数百人の学生の前で「世界の人々は君たちがポイ捨てするのを見て、君たちの知性と教養を疑います。ポイ捨ては恥です。ごみを捨てないことは、かっこいいことです」と訴えた。この間数秒。横に立っている司会者が引く気配がわかる。聞いている学生たちのプライドが揺れるのを感じる。これは僕にとっても大きなプレッシャーだ。だけどここでひるんだら僕の負け。
「さあインドネシア最高学府の学生の意地とプライドと真の姿をみせてください」と追い打ちをかけた。
今回はあくまで学生を動かすことを目的としていたため、いつものようにお掃除クラブの手で会場のごみを片っぱしから拾ってきれいにするということはしなかった。結果は期待はしたが、芳しくなかった。それも計算済み。学生主体となって動かなければ意味がない。
近く大学で再び学生代表に会い、インドネシアの未来を担う学生たちの奮起を促したい。いつの世も若者が動かなければ、人々の意識を変え、ジャカルタの街からポイ捨てを無くそうなんて理想は、到底実現しやしない。
(ジャカルタお掃除クラブ代表デワント・バックリー)