「民主化の教訓伝える」 民族紛争解決へ協力 外相がミャンマー訪問

 マルティ・ナタレガワ外相は二十八日、ミャンマーの最大都市ヤンゴンを訪れ、ワナ・マウン・ルウィン外相と民主化運動指導者のアウン・サン・スー・チーさんと会談した。外相のミャンマー訪問とスー・チーさんとの会談は、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議を控えた十月に行って以来、約二カ月ぶり。民主化への取り組みを内外に示しているミャンマーの改革にインドネシアが協力していくことを再度確認した。

 前回は、今年のASEAN議長国として各ASEAN加盟国を代表して訪問。ミャンマーの二〇一四年の議長国就任などについてテイン・セイン大統領やスー・チーさんと会談。マルティ外相が訪問後に「確かに著しい発展があったと感じた」と評価したことで、十一月のASEAN首脳会議での議長国就任承認の流れを決定付けた。
 今回は両外相が二〇〇七年以来となる二国間協力共同委員会(JCBC)を開催。
 政治分野では一九九八年のスハルト政権退陣後の民主化を経験したインドネシアが、グッド・ガバナンス(良い統治)や民主主義制度、人権などの分野で、総選挙委員会(KPU)や国家人権委員会、インドネシア科学院(LIPI)と協力しながらミャンマーの取り組みに協力していくことで一致した。
 経済分野では、今年は第三・四半期までに一億七千三百万ドルだった二国間貿易の総額を二〇一五年までに五億ドルまで引き上げることで一致。インフラや観光分野などでの投資拡大や農林水産業での協力も確認した。
 マルティ外相は会談後、インドネシアのメディアに対し、「われわれの最大の関心事は、民族紛争を中心とした課題への対処について、いかに教訓を共有できるかだ」と述べ、民主化後の一時期に各地で勃発した民族紛争を沈静化した経験を、国内で少数派民族との紛争を抱えるミャンマーで生かすことができるとの認識を示した。
 ミャンマー側からは、インドネシアがミャンマーの議長国就任を支持したことに謝意が示された。
 スー・チーさんとは、ASEAN地域での協力を通じていかに民主化の流れに弾みをつけるかについて協議。スー・チーさんは最近のミャンマー情勢について説明するとともに、今後いかに開かれた公正な選挙を行うことができるかが重要であると訴えた。
 ミャンマーは実質的に軍政が続くものの、昨年の総選挙を経て、今年三月に新政府を発足させて形式的に民政に移管した。先月末から今月初めにかけて米国のクリントン国務長官が米国務長官として五十年ぶりにミャンマーを訪問。日本の玄葉光一郎外相も今月二十五―二十七日に訪問するなど、民政移管を機に国際社会はミャンマー政府との関係再構築を進めている。

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