希望再び、アジア選手権へ イ野球代表、出場枠増で 資金・スポンサー必要に
9月に台湾で開かれるアジア野球選手権にインドネシア代表の出場が固まった。日本や韓国などの強豪に挑む。ただ渡航費など資金が足りておらず、野中寿人監督などインドネシア・アマチュア野球・ソフトボール連盟は月末から再びスポンサーを集める。選手権での一勝の前に、まず出場のための奮闘が始まっている。
6月にあった東アジアカップで準優勝に終わった時点ではインドネシア代表にアジア選手権への出場権は無かった。だが、幸運にも出場枠が増え出場が決まった。
アジア選手権は台湾の台中市で9月16〜20日に開かれる。総当たり戦。単体競技ではアジア最高峰の大会で2年に一度ほど開かれている。
選手権大会への出場は野中監督が率いて初出場した2009年以来2度目。大会にはアジアの4強である日本と韓国、中国、台湾も出場する。日本からは社会人代表チームが出場する予定だ。
野中監督によると、今回のアジア選手権は出場するだけで、好成績を残すことができなくてもワールド・ベースボール・クラシック(WBC)予選=来年開催=に招待されるための大きなアドバンテージになる。
これまで主に日系企業から集めた資金は、東アジアカップでほぼ使い果たしており、再び短期間で資金を集めなくてはならない。連盟は試合前の合宿と渡航費用、現地での交通費などに3億5千万ルピア(約320万円)必要とみている。今月末から野中監督は再び日系企業などを回ってスポンサーを募る。
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野球インドネシア代表は資金や野球用具などの支援を個人や企業、団体問わず募集している。寄付は企業が1口500万ルピア、個人が1口100万ルピアから。問い合わせは野中監督(メールnonaka.66@gmail.com)まで。
■「何がなんでも出場する」 世界大会視野の野中監督
「チームはぐちゃぐちゃの状態なのに、またはい上がることができた。本当にこのチームはついてる」と野中監督は安堵する。東アジアカップで優勝を逃したインドネシア代表。一度はアジア選手権への出場権を逃したが、強運がチームに希望の切符をもたらした。
先月の東アジアカップは資金不足で出場すらままならなかった。他国の事情で突然決まったジャカルタ開催。メンバーは若く野球経験が浅く、練習も満足にできず、先発メンバーの数人がけがに見舞われた。それでも踏ん張り、準優勝したからこそつかんだ切符だ。
勝利には日本などアジア4強が立ちはだかるが、今回は参加そのものに意義があると捉える。野中監督は「総当たり戦で、強豪と試合することが若い今の代表チームには良い経験になる」と話している。
チームには再び資金の壁が立ちふさがる。資金が集まったとしても選手権前の合宿を開けるのは1週間程度とみており、依然として綱渡りの状態。野中監督は「何がなんでも(台湾へ)飛ぶ」と息巻く。見据えるのは世界最高峰のWBCだ。(堀之内健史、写真も)