グリーが強力後押し ゲーム会社タッチテン 「業界首位に」
日本の大学を卒業したインドネシア人が経営するモバイルゲーム開発会社「タッチテン」はこのほど、IT大手のグリーなどから資金調達を行なったと発表した。グリーの出資額は非公表だが、単独企業ではタッチテンの中で最大。出資を受け、タッチテンは国内ゲーム業界首位を目指す。
同社のCEO(最高経営責任者)を務めるアントン・スハルヨさん(29)は2004年に早稲田大学国際教養学部に入学。卒業後、同大大学院アジア太平洋研究科で学んだ。大学院で学ぶ傍ら、関心の強かったゲーム開発に携わり、09年にいとこや弟とタッチテンを立ち上げた。初めて開発したスマートフォン向けのゲーム「スシ・チェーン」が120万件のダウンロードを記録し、本格的にゲーム業界への参入を決意。今ではタッチテンのゲームアプリのダウンロード件数は、世界で1200万件に達する。
アントンさんは「ゲームを通してインドネシアを誇れる国にしたい」と熱を込めた。グリーからの投資は「我々の事業が認められた証拠」と語り、グリーとともにインドネシアで業界首位を目指す。調達した資金で社員を2倍の70人に増やすほか、商品開発などに充てる。
グリーからは、同社アジア事業推進部の飯田克司さんがタッチテンの役員に加わる。グリーの取締役執行役員の前田悠太さんは「(グリーは)アントンさんとタッチテンの大ファン。タッチテンが東南アジアで1番のゲーム会社になるため、今後も支援していく」と語った。
タッチテンは11年にインドネシアのベンチャーキャピタルから出資を受けたほか、13年にはサイバーエージェント・ベンチャーズやセガサミー・グループのほか、シンガポールの銀行系ベンチャーキャピタルからも出資を受けている。
東南アジアのモバイルゲームの市場規模は17年までに、14年比で約2倍の22億ドルに達するといわれており、世界でも注目を集める市場だ。
ゲーム調査会社の資料によると、インドネシアの14年のモバイル向けゲーム収入は1億8110万ドルで、ゲーム愛用者は3400万人。最も人気のあるゲームは敵を倒して成長する「ストラテジーゲーム」というジャンルだ。(佐藤拓也)