横浜とバタムが連携 5月に覚書締結 都市開発に日本の技術 8月に現地視察へ

 リアウ諸島州バタム市と横浜市が、都市間の連携を活発化させている。環境に配慮した都市開発を目指すバタム市と、市内企業の海外展開を後押ししたい横浜市との思惑が一致。5月にはバタム島の都市開発に横浜市が協力することや、両都市間の経済活動の活性化を目的にした覚書を締結。8月には横浜市内の企業を中心とした視察団がバタム市を訪れて、現地調査と商談会を行い、具体的な協力事業の発掘を行う。

 両市の協力は、バタム市職員が日本政府の招へいプログラムで横浜市の廃棄物処理場などを見学した際に、横浜市に導入されている廃棄物処理技術や環境保護政策に着目。報告を受けたバタム市のアフマッド・ダーラン市長が、横浜市に都市開発への技術協力を打診したのがきっかけ。今回の覚書締結へとつながった。アフマッド市長は「バタム市と同じ湾岸都市である横浜市から協力を受けられるのは心強い」と話している。
 横浜市は8月中旬に市内の企業を中心とした視察団をバタム市に派遣する。視察団は工業団地や港湾、廃棄物処理場や浄水処理場などを視察する。滞在中には商談会も予定されており、環境負荷の小さい日本の技術をバタム市や現地企業に売り込む。
 バタム市があるリアウ諸島州バタム島は、シンガポールの南方約20キロメートルにあり、シンガポールから国際フェリーで1時間足らず。自由貿易地域に指定されており、外資企業や地元企業の進出も年々増加。20カ所を超える工業団地の建設や国際空港の整備などが成功して、大きな発展を見せている。一方で、現在約120万人の人口は今後20年で倍増するとの試算もあり、廃棄物処理や下水処理などのインフラ整備や省エネルギー技術の導入が喫緊の課題となっている。
 横浜市は2011年1月から、新興国の都市課題の解決支援と市内企業の海外展開を目的とした「横浜市の資源・技術を活用した官民連携による国際技術協力(Y―PORT事業)」を開始。これまでに、フィリピン・セブ、タイ・バンコク、ベトナム・ダナンの各都市と提携した。日揮(横浜市)やJFEエンジニアリング(同)などの企業と、技術協力を海外に展開することで協定を締結し、都市開発に関する合同調査を実施している。
 横浜市は、これまでの都市開発のノウハウを新興国に還元すると同時に、中小企業を中心とした市内企業の海外展開を後押しして、市の経済活性化を図っている。横浜市国際局の担当者は「単独では情報収集や人脈など海外進出のノウハウのない企業を、市のネットワークを通じて後押しできる」と話している。(藤本迅)

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