違法薬物に宣戦布告 ジョコウィ大統領 更生施設の整備促進
国連が定めた「国際薬物乱用・不正取引防止デー」の26日、ジョコウィ大統領は「違法薬物に対する戦争を宣言する」と述べ、取り締まりや薬物中毒者の更生に力を入れる方針を示した。
同日、南スマトラ州や東ジャワ州など7都市の麻薬リハビリセンターが開所した。中央ジャカルタの大統領宮殿(イスタナ)で開所式の様子を見守ったジョコウィ大統領は、昨年1万8千人だったリハビリ施設の収容人数を今年は10万人、来年は20万人まで増やす目標を示した。
政府は2011年に違法薬物中毒者への扱いの方針を転換。犯罪者としてではなく、被害者として、リハビリ施設で更生を促している。そのため全国各地のリハビリ施設の整備を進めている。
一方で11〜14年の間に違法薬物関連の犯罪が16万件以上起きるなど、依然として違法薬物のまん延が深刻な社会問題になっており、流通阻止に有効な手立てを打ち出せていないのが現状だ。
国家麻薬委員会(BNN)のアナン・イスカンダル委員長は違法薬物について「依然脅威で緊急事態だ」との見方を示した。
政府の調査によると、現在国内の麻薬中毒者は410万人と全国民の2・2%に上る。昨年、違法薬物で死亡したのは1万2044人。
BNNの調査によると2014年の違法薬物での損失は63兆ルピアに上った。このうち個人による違法薬物購入額が56・1兆ルピア、薬物中毒者の死亡にともなう費用などの社会的損失が6・9兆ルピア。損失額は08年と比べ3倍に、11年に比べても3割増になった。(堀之内健史)