インドネシアの力に 主催の松野木京子さん
今回の事業を主催した松野木京子さん。インドネシア芸術大学(ISI)音楽学部のアドバイザーや、世界中から若手演奏家を集め世界各国を回る「アジアユースオーケストラ」のインドネシア実行委員長を務めている。1993年に夫の赴任で来イして以来、計9年間滞在。自らもバイオリニストで、インドネシアのクラシック音楽の普及に力を注いでいる。
この国では文化・芸術分野を学ぶ若者への支援が少ないと指摘する。そのため海外経験のある演奏家が若い奏者を育てるケースがほとんどという。海外演奏家との交流も少ない。
「世界で活躍する演奏家が奏でる一流の音楽を聴くことで、新たに感じるものがある。演奏家はもちろん、楽器に触れたことのない人も音楽に感動するきっかけとなる」
音楽教育は子どもの感受性を豊かにし、力を入れてほしい分野だと力を込める。「楽器の演奏はお金などの利益に直接結びつかず、生活の豊かさに直結するものではないが、経済発展が進み少しずつ豊かになってきた今こそ、音楽の大切さを広めたい」と語る。
日本では戦後、欧米から支援を受けながら演奏技術を教わった音楽家が多く、今度は自分たちが東南アジアの力になりたいと考える人が増えているという。「インドネシアで音楽に携わる人たちの協力も得ながら、こつこつと続けてきた。人と人とのつながりを大切にし、今後も活動を広めていきたい」と夢を持ち続けている。