初海外公演、繊細な響き レッスンも シェルム弦楽四重奏団

 日本フィルハーモニー交響楽団のソロコンサートマスターでバイオリニストの木野雅之さんを中心に編成された「シェルム弦楽四重奏団」は国際交流基金の助成を受け21日、西ジャカルタのグロリアムス音楽学校で公開レッスンとコンサートを開いた。海外公演は初めて。繊細で表現豊かな演奏で観客を引き込んだ。
      
 同団は、木野さんの指導を受けたことがあり、国内外で活躍する若手演奏家の松野木拓人さん(バイオリン)、池田開渡さん(ビオラ)、ピーティ・田代櫻さん(チェロ)で昨年結成した。フェリックス・メンデルスゾーンの「弦楽四重奏第3番二長調作品44の1」やモーリス・ラヴェルの「弦楽四重奏ヘ長調」を披露した。
 公開レッスンには若手演奏家や先生らが足を運び、個人やグループで演奏技法などを学んだ。弓の使い方や腕の動き、弦の押さえ方から、曲中でのリズムの感じ方、音の表現方法まで丁寧に指導。弦楽四重奏のレッスンでは、木野さんと池田さんが自ら演奏に加わりアドバイスした。
 北スマトラ州メダンから来たバイオリン教師のマウリダ・ヌル・イスナイニさん(29)は、技能上達のため年に1度はジャカルタまで学びに来る熱心な演奏家。今回は木野さんからソロでレッスンを受けた。「技術的なことはもちろん、歌うように弾く大切さなど表現方法を教わった。もっと上手くなれるよう練習に励みたい」と意気込んだ。
 木野さんは「教えるとすぐ理解してくれ、今後が楽しみな演奏家がたくさんいた。短い時間しか教えることができず、今後の成長や変化を見られないのが残念」との感想。「自分が演奏する楽器だけでなく、ピアノなど一緒に演奏する他の楽器の音も知ることが大切」とアドバイスした。
 23日にはジョクジャカルタのインドネシア芸術大学(ISI)でも公開レッスンと演奏会を開いた。(毛利春香、写真も)

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