8月に二つの自動車展 同じ日程 同じ首都圏で メーカー困惑 疑問の声
中央ジャカルタ・クマヨランの国際展示場(JIエキスポ)で毎年開かれていた自動車展示会が、今年は首都圏内2カ所で全く同じ日程で開かれることになった。片や自動車メーカーの団体であるインドネシア自動車工業会(ガイキンド)が主催する「オートショー」、片やこれまでガイキンドとともにモータショーを開いてきたイベント会社が主催する「モーターショー」。日系自動車メーカー9社中7社はガイキンド側のみに出展する方針で、同時開催に疑問の声が上がっている。
「ガイキンド・インドネシア国際オートショー(GIIAS)がガイキンドによる公式の展示会だ」。ガイキンドのスディルマン会長は2月にあった概要発表の記者会見で強調した。ガイキンドは昨年までコンパス・グラメディアグループのイベント会社ディアンドラ・プロモシンドと組んでモーターショーを開いてきたが、今年は別のイベント会社セブン・イベントと組んだ。
会場はバンテン州南タンゲランのブミ・スルポン・ダマイ(BSD)にある今年開業したばかりの国際展示場インドネシア・コンベンション・エキシビション(ICE)に移した。これまで通り30以上の日系を含む自動車メーカーなどの出展が決まっている。
一方、ガイキンドというパートナーを失ったディアンドラ・プロモシンドは例年通りJIエキスポでインドネシア国際モーターショー(IIMS)を開く。地元紙報道などによると、IIMSへはディーラーなど150業者以上の出展が決まっており、GIIASに劣らず30ブランド以上の車が並ぶ予定だという。
両方とも全く同じ8月20〜30日に開かれるがIIMSには多くの日系メーカーは出展を見送る。日系自動車メーカー9社のうち7社が「GIIASのみに出展し、IIMSへはディーラーの出展もないとみられる」と回答した。
GIIASのみと回答したのはトヨタとダイハツ、三菱自動車、スズキ、いすゞ、日野、マツダの7社。日産は両方に出展すると回答した。ホンダはIIMSの出展は検討中とした。
マツダ・モーター・インドネシアの奥江敬三社長は「タイのように半年に一度であれば検討するが、同じタイミングで開かれると予算や人出が足りず、出展は難しい」と話した。
別の自動車関係者は「昨年までと同じだと思ってIIMSに行ってみたら、全然車が無いということもあり得、来客に迷惑が掛かる。自動車産業を盛り上げていこうという機会なのに」と話した。
日産モーター・インドネシアは「プレゼンスを少しでも高めるため出展を決めた」(同社担当者)という。ただメーンの展示と記者発表はGIIASで行い、規模もGIIASの方が大きくなるという。
ガイキンド側は自動車メーカーが直接出展する「公式」の展示会であることを、ディアンドラ・プロモシンド側は定着している「IIMS」という名前と場所をアピールしそれぞれ集客を目指す。(堀之内健史、写真も)