福田氏ら、大統領と会談 経済協力で日イ協会 企業トップ交え インフラ・人材育成・新幹線・輸出振興…

 日本インドネシア協会(東京)の福田康夫会長は同協会の法人会員と共に来イ、27日午後、中央ジャカルタの大統領宮殿(イスタナ)でジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領と会談した。新幹線や人材育成、輸出振興などで、約1時間話し合った。

 会談には日本側から、国際石油開発帝石、日本郵政、住友商事、スズキ、日揮、ダイハツ、パナソニックなどのトップらが同席した。インドネシア側もソフヤン・ジャリル経済調整相、ラフマット・ゴーベル商業相らが出席した。
 福田会長は冒頭、日本インドネシア協会が、両国の関係強化のため努力していることを説明し、大統領が強力に推進しているインフラ構築を取り上げるなかで、新幹線に言及した。「日本の新幹線は開業から50年、一度も人身事故が無く、安全性は高い。ラッシュ時は3分置きに発車するが、到着時間は正確」と例を挙げて強調した。さらに「これには夜、線路の点検をするほど不断のメンテナンスが必要だ。このため人材育成もしている。インドネシアでもこういう点を考えていただきたい」と要望した。
 その後、日本側企業の出席者を紹介した。順に意見を述べ、インドネシアの重点政策である輸出振興に協力していくことを表明した。スズキの鈴木修会長兼社長は、インドネシアで(自動車を)造って輸出しようとしても、FTAが無い国が多いので、「輸出しやすい環境を整備してもらいたい」と要望した。ゴーベル商業相は「大統領の指示のもと、(他国と)話し合いをしている」と述べた。さらに「インドネシアは日本にとって有力な生産拠点になりうる」と強調し、「日本のものづくり精神で人材育成を期待している」と話した。
 ダイハツの伊奈功一会長は技術者をインドネシアに送る際、「高卒の人のビザがなかなか出ない」と話すと、大統領は「最近、規則を変えたので、その問題は解消した」と回答した。
 パナソニックの大坪文雄特別顧問は世界で200年以上続いている企業は5600社あるが、その半分は日本の中小企業、と数字を紹介し、「中小がしっかりしていると輸出振興につながります」と意見を述べた。大統領も感心した様子だったという。 
 大統領は主に聞き役に回っていたが、最後に、両国関係は「今や戦略的パートナーになっている」とした上で、ジャカルタの高速鉄道MRT南北線の建設工事に触れ、「日本の技術は素晴らしい。ぜひ東西線の工事にも参入してほしい」と要請した。また、3月に訪日した際、東海道新幹線に乗車、「安全性は高いと感じた」と述べたが、「新幹線と、それに代わりうるものとの比較検討もしたい」と含みを持たせる言い方をした。インドネシアではジャカルタとバンドン、スラバヤを結ぶ新幹線計画がある。
 また会談ではバタンの石炭火力発電所や天然ガス開発など、個別のプロジェクトについても、言及されたという。(臼井研一) 

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