日イ相互の人気を分析 アル・アズハル大日本研究センター ジェトロの富吉所長講演
「チャレンジ! 日本に学ぶ」と題して、毎年講演会を開いている南ジャカルタのアル・アズハル大学文学部日本研究センターは21日午後3時から、富吉賢一ジェトロ・ジャカルタ事務所長を招き「インドネシアの現状と日本企業」のテーマで講演会を開いた。日本語学科の学生を中心に約70人が熱心に耳を傾けた。
この講演会は同文学部非常勤講師の高殿良博氏らが、学生の日本理解の一助にと企画している。
富吉所長はインドネシアに対する日本企業の人気の理由として、市場が大きいこと、資源が豊富なこと、経済成長を続けていることなどを挙げた。特に「経済成長率5〜6%がずっと続いていることは重要。この間、日本の成長率はほとんどゼロです」と指摘した。
その結果、拡大を続ける中間層は、2020年には1・9億人になるという数字を紹介した。「賃金は上がり、中間層はたくさん物を買います。企業の売り上げも伸びていく。こういうことに期待して、日本企業が多数進出する」と分析した。
さらに現在、進出企業の70%は製造業だが、飲食業や教育、保険などが進出してきていると説明し、今月バンテン州南タンゲランにオープンするイオンモールには、インドネシア初進出の店が多数出店すると話した。
インドネシアでは、年間自動車販売台数の96%は日本車。日本国内でさえ日本車のシェアは93%という数字を挙げ、日本の自動車メーカーにとって極めて大事な国であると述べた。
さらにインドネシアの今後の課題として、ルピア安、インフラ不足、法制度の不透明さなどを挙げた。
ジェトロの仕事も紹介し、その中で日本のアニメや音楽のコンテンツをインドネシアに持ってきて、事業としてどう展開するか、中小企業支援の一環で取り組んでいると述べた。
女子学生から「ITで起業したいのだが、日本の企業と連携できるのか」という質問が出た。富吉所長はジェトロでは両国の中小企業のマッチングにも取り組んでおり、主に日本側からの相談に応じてきたが、インドネシア企業からの要請にも取り組んでいきたい、と回答した。
日本語学科のアリアンティ学科長の「学生が日本企業に就職するためにはどんな準備をしたらいいか」との質問には、「日本語の習得だけでなく、企業のインターシップに応募したり、ジョブフェアに参加したりして、体験や情報収集のチャンスを生かしてほしい」とアドバイスした。(臼井研一、写真も)