「今後も継続的な伸び」 主要銀行、軒並み増益 国民の金融資産が増加 顧客の高い借入需要

 主な国内銀行の上半期決算が先月30日に発表され、全体の貸出残高で高い割合を占める主要銀行の収益が軒並み2ケタ成長を記録した。6%以上の高い経済成長が続く中、顧客の借入需要が急増。中銀は貸出金額の伸び率を20%以上とするよう国内銀行に指導し、金利収益が高水準で推移する状態が続いている。国民の金融資産が増加し、銀行サービス全体が広がっていることも追い風になった。(岡坂泰寛)

 国営主要銀行3行の総収益は19兆ルピア(約1600億円)に上り、昨年に続いて過去最高を更新した。
 収益が最も多かったのは国営バンク・ラクヤット・インドネシア(BRI)で、前年同期比28.3%増の8兆8千億ルピア。国営マンディリ銀行は同13.0%増の7兆1千億ルピアで、貸出残高は首位の350兆4千億ルピアを記録した。国営バンク・ヌガラ・インドネシア(BNI)の黒字額は、同20.4%増の3兆2900億ルピアだった。
 民間銀行の収益額が1兆ルピアを上回ったのは3行で、セントラル・アジア銀行(BCA)が同10.5%増の5兆2900億ルピアで首位。ダナモン銀行が同36.0%増の2兆ルピア、CIMBニアガ銀行が同28.0%増の1兆9800億ルピアと続いた。
 三菱東京UFJ銀行ジャカルタ支店の林哲久副支店長は、設備投資や運転資金など多様なセクターに対して融資を行っている金融機関が、今後のインドネシアの経済成長を支える上で重要と指摘。収益率の伸びや健全性も先進国に勝っているとも言える状態が続いており、「今後も継続的かつ健全な伸びが期待される」と語った。

■中小への出資加速も
 金融界の一層の健全化に向け、中銀が銀行の吸収合併を奨励する中、業績が右肩上がりとなっている大手銀行が国内の中小銀行への出資を今後拡大していけば、統廃合が加速する可能性がある。
 インドネシアの民間銀行は中小を中心に6割が家族経営で、経営の透明性が課題。中銀は、他銀行や別の投資家の出資比率が高まることを期待し、商業銀行の株式保有に関する中銀令を13日に施行し、これらの中小銀行の経営健全化を促している。
 中銀令では、国内銀行株の新規取得における出資比率の上限を設定。銀行や金融機関は40%、ノンバンクは30%、個人投資家は20%とした。株式保有率が上限を超える銀行は、今後、外部からの新たな投資が必要になる。
 中小銀行の経営悪化は、インドネシア全体の金融システムの不安定化を招く可能性があるため、中銀はリスク軽減に向けて、これまでに必要最低資本金を段階的に引き上げるなどの対策を講じてきており、出資規制もその一環。

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