経済指標が悪化 景況感や失業率も 公共事業で上向きも GDP成長率4.71%
第1四半期の実質国内総生産(GDP)成長率が4.71%と6年ぶりの低水準になる中、各種経済指標も悪化している。景気は第2四半期以降、公共事業で上向きそうだが、ルピアは安い水準が続いており、消費者心理は冷え込んでいる。日系企業にとっては我慢の時になりそうだ。
中央統計局(BPS)によると2015年第1四半期の景況感を示すビジネス傾向指数(ITB)は前期比7.77ポイント減の96.30ポイントだった。2006年以来の低水準。ITBは全国の経営者から聞き取り調査を実施したもので、100が現状維持、100を超えた場合は景気が上向いていること、下回った場合は景気が下向いていることを示す。
失業者数は2月末時点で前年同月比30万人増の745万人。失業率も前年同月から0.11ポイント増加し5.81%になった。
日系家電メーカーの幹部は「第1四半期は洪水などの影響で販売が落ち込んだ。現在は回復しているが、為替が今の水準だとさらに値上げせざるを得ない」と消費の冷え込みを懸念する。ある日系飲料メーカーはルピア安で上がったコストを1月から飲料の量を減らして対応している。
景気減速は金融業界にも影響している。主要10銀行の第1四半期の純利益は前年同期比0.36%増の20兆6600億ルピアにとどまった。10銀行の金利収入は同15.84%増となったが10行の融資残高は前期末から1.71%減少した。
今後の見通しについて、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は「外国直接投資やインフラ事業の開始で成長率は改善する」と強調した。今後5年間で3万5千メガワット(MW)分の発電所建設や海洋高速構想に向けた港湾整備が本格化、景気を押し上げるという。
景気減速で税収も停滞している。財務省税務総局によると、4月末時点での税収は今年通年の目標額の24%である310兆1千億ルピアにとどまった。石油ガス関連の法人所得税が前年同期比46%減の16兆7400億ルピア、付加価値税と高級品に掛かる奢侈(しゃし)税の合計も前年同期比5.3%減の111兆3200億ルピアだった。
中銀は今年のGDP成長率が政府目標の5.7%より低い5.4%だった場合、税収達成率は目標の6〜7割である780〜910兆ルピアにとどまると予測している。(堀之内健史)