「社会に役立つ人に」 板東AIO社長招き講演会 アル・アズハル大日本研究センター
アル・アズハル大学文学部日本研究センターは二十三日、南ジャカルタの同大キャンパスで日本語学科の学生を対象に、講演会を開催した。同研究所は日本語学科の学生に、日本への関心と学習意欲を強化するため、「チャレンジ! 日本に学ぶ」と題し、インドネシアで活躍する日本人の体験から学ぶ講演会を九月から開始。三回目となる二十三日には、ポカリスエットなどを製造・販売する大塚製薬の現地法人アメルタ・インダ・オオツカ(AIO)社の板東義弘社長が「創造と革新」と題し、講演した。
「マーケティングとは何か」。「ポカリスエットを知っているか」。板東社長は集まった学生ら約八十人に問いかける。皆がもちろんと言わんばかりうなづくが、大豆を原料にした栄養食品「SOYJOY(ソイジョイ)」については知らない学生も。
板東社長は、最初は赤字業績が続きながらも、ポカリスエットが健康に良いことを少しずつ周知させ、今ではインドネシア人に支持される大ヒット商品になったと紹介。人気商品を作るためには、市場そのものを生かし、社会への貢献を考えることが重要と話した。
また板東社長は、日本の企業創業者たちの名言を紹介した。
ホンダの創業者・本田宗一郎氏の「最後まであきらめなかった人間が成功する」、パナソニックの創業者・松下幸之助氏の「企業は本業を通じて社会貢献をする」のほか、成功したインドネシア人の企業家などについても触れた。
講演では、板東社長が学生を指名し、「はい、この言葉を読んでみて」と、スクリーンに映された言葉を朗読してもらう場面もあった。学生たちは、成功を収めてきた企業の理念を学んだ。
最後に、インドネシアとシンガポールを対比し、国民所得などで大幅に遅れをとっていると指摘。だが、インドネシアには二億四千万の人口をはじめ、豊かな国土と資源がある。インドネシアの可能性に触れ、「人と社会に役に立つ人」「他人がやらないことをやる」「世界で活躍する人」など、板東社長は自身の理念を紹介し、講演を締め括った。
質疑応答では、学生からは「ソイジョイはなぜ体に良いのか」「なんでポカリという名前なの」など素朴な質問が続出。今回の企画を立案し、人選などに奔走した文学部日本文学研究科の高殿良博教授は「学生に向かっていく板東社長の双方向の講義は、学生たちにとって初めての経験。楽しく学べたようだ」と語った。
講演に参加したイスマイルさん(二七)は「ソイジョイに健康に良い大豆が入っているとは。マーケティングの本質に触れることができた」と笑顔。トトさん(二一)は「楽しかった。常に革新をしなければならないという精神を持って、これからも勉学に励みたい」と話した。