技術交流、日イ合作 も日本映画大とIKJ姉妹提携 きょうから高倉健さん追悼映画祭
日本で唯一の映画単科大学である日本映画大学(神奈川県川崎市)と中央ジャカルタ・チキニにあるジャカルタ芸術大学(IKJ)は21日、姉妹提携を結び、IKJのアートシネマで調印式を開いた。映画評論家で日本映画大学の佐藤忠男学長と石坂健治教授が出席。将来、日イ合作映画の制作を視野に入れ交流する。国際交流基金アジアセンター主催で両大学などが参加した「映画学生交流プログラム」の報告なども行われた。
石坂教授が昨年12月、ジャカルタに立ち寄り国際交流基金による仲立ちで、IKJとの姉妹提携の案を固めた。佐藤学長は1979年、アートシネマで開かれた同基金主催の日本映画上映会に参加し、「幸せの黄色いハンカチ」と山田洋次監督を紹介した。アジア映画評論の先駆者である佐藤学長はインドネシアの映画関係者の間でも知られ、「知名度もあり(姉妹提携の)話が円滑に進んだ」と振り返った。
日本映画大は、IKJとの姉妹提携の中で学生や教授同士の技術共有を図るシンポジウムの開催と日イ合作映画の制作を考えている。石坂教授は「互いの言語は異なっていても、映画を通じた交流はできる」と期待。佐藤学長は「互いの文化を十分に理解した上で合作映画ができる。長い時間が必要になる」と話した。
日本映画大にとってIKJとの姉妹提携は、韓国や中国、台湾に次ぎ4校目。
国際交流基金の「映画学生交流プログラム」報告会では、参加したIKJ映画テレビ学部のセノ・グミラ・アジダルマ教授や学生らが日本の体験を伝えた。
プログラムは今年3月、タイやフィリピン、インドネシア、日本の4カ国の映像映画学部などの教授・学生を対象に2週間実施。日本からは日本映画大、インドネシアからはIKJが参加した。東京や大阪、京都などでのフィールドワークを通じて、日本の映画産業などを見学した。
セノ教授は東京の国立近代美術館に保存されているフィルム作品の管理方法に興味を示し「インドネシアにも必要な技術。作品は残すことで学習することにつながる」と発表した。
姉妹提携の調印前日の20日には、関連行事として佐藤学長が長年評論してきた俳優、高倉健さんを語る記念講演などもあった。22〜26日は高倉さんを追悼する映画祭をアートシネマで開催する。(山本康行、写真も)