タンボラ山、国立公園に 観光資源として活用 大噴火200年記念 西ヌサ州スンバワ島
ちょうど200年前の1815年に歴史的な大規模噴火があった西ヌサトゥンガラ州スンバワ島のタンボラ山。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が11日、200年記念式典に参加するため、同地を訪れた。タンボラ山を国立公園に指定し、新たな観光地として活用する動きが進んでいる。
ジョコウィ大統領は記念式典に参加し、タンボラ山を国立公園に指定することを宣言した。大統領は「毎年、この記念式典を行い、タンボラ山の観光促進行事にしたい」と、今後さらに同地に観光客を呼び込むことを強調した。大統領はイリアナ夫人と11日、タンボラ山のある同州ドンプ県を訪れ、タンボラ山には観光地としてふさわしい美しい景観があることを確認した。
シティ・ヌルバヤ観光林業相は7日、タンボラ山付近の地域を国立公園に指定することで合意。タンボラ山はビマ県とドンプ県の両県が管轄している。裾野面積は富士山の約4倍の7万ヘクタール。同国立公園は自然保護区や野生生物の保護区、狩猟区の三つの区域に分けられる。
タンボラ山は絶滅の可能性のある生物が多く生息している地域として、生物の多様性を持つ地域としても位置づけられている。
西ヌサトゥンガラ州観光局は噴火の跡が観光資源になると期待を込める。登山者向けにさまざまなコースがあり、同州ドロ観光局長は「(タンボラ山がある)ビマ県とドンプ県は登山者を魅了する場所になる」と述べた。ビマ県出身の国会議員のファルク・ムハマッドさんは「200年前は世界に甚大な影響を与えたが、今は自然豊かで美しい景観を保つ素晴らしい場所になっている」と語った。
タンボラ山は標高2851メートル。1812年ごろから噴火が活発化し、15年4月10日に大規模な噴火が発生。3時間近く火山活動を続け、大量の軽石や火山灰が放出。周辺では3日間、昼でも視界が悪かったという。
翌年の1816年は「夏のない年」と言われ、ニューヨークで6月に雪が降るなど世界的な冷夏となった。主因として、タンボラ山の火山灰が大気に流れ、日光をさえぎったことが有力視されており、当時の噴火の規模の大きさを物語っている。
噴火により、飢饉(ききん)や疫病などの間接的被害を含め、約8万8千人が亡くなったと言われている。(佐藤拓也)