日イ協力の新段階へ 2プラス2開催で合意 両海洋国家、首脳会談
日本を訪問中のジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領と安倍晋三首相は23日夕、首相官邸で会談し、投資や貿易を一層促進することを確認し、共同声明を発表した。防衛協力の覚書も結び、これにより、安倍政権とジョコウィ政権は新たな二国間関係に踏み出す。
会談で安倍首相は「互恵的パートナーシップを抜本的に強化したい」と述べ、投資拡大の確認を「大きな成果だ。戦略的パートナーシップをさらに発展させる」と強調した。ジョコウィ大統領は「日本企業の投資を誘致したい」とし、投資環境の改善を進める努力に改めて言及した。
安倍首相は、ジャカルタのインフラ整備のため約1400億円の円借款を供与する方針を伝えた。共同声明には経済協力の方針「日インドネシア投資・輸出促進イニシアチブ」が盛り込まれた。両国間の経済連携協定(EPA)は、日本からの輸入の急増を懸念するインドネシア側の求めで、見直しも検討する。
また、海洋安全保障での協力も確認し、外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開催する方針で一致した。2プラス2は、開催されれば米国や英国、フランスなどに続き6カ国目。日本側は東南アジア諸国連合(ASEAN)を主導するインドネシアとの関係を一層強化したい考えで、海洋分野で協力を進めるためのハイレベル会合「海洋フォーラム」を新設することでも合意した。テロや過激主義への連携対応も確認した。
一方、経済協力面では、「具体的な内容」(大統領)を求めるインドネシアの要望もふまえ、日本貿易振興機構(ジェトロ)が、商業省、投資調整庁(BKPM)と、それぞれ別個に協力推進の覚書に調印、首脳会談でその内容を確認した。2本の覚書は、インドネシア政府が掲げる「5年間で輸出3倍増」や「中小企業の振興」といった政策目標の達成を念頭に、両国がとる手段の方向を定めている。BKPMとの覚書は2年ごとに見直す。
ジョコウィ大統領は同夜、安倍首相主催の夕食会に出席し、懇談した。
安倍首相とジョコウィ氏の会談は、昨年11月に北京で開かれた国際会議の際に行われて以来。(小牧利寿、斉藤麻侑子)