「支えてくれる人に感謝」 2020年に東北公演目指す バックトゥザ戦国! 劇団en塾リハーサル
インドネシア人学生による日本語ミュージカル劇団「en塾(エンジュク)」は日本公演を来月3、7日に控え、14と21の両日、関係者を招いた通しリハーサルを行った。本番用の衣装を身にまとった団員らが、2時間半にわたって演技を披露した。
演目は2013年にジャカルタ芸術劇場(GKJ)で上演した「バックトゥザ戦国!」。インドネシア人留学生が時空をつなぐ扉を使って現代日本と戦国時代を行き来し、織田信長らと交流する。作品では桶狭間の戦い、姉川の戦い、本能寺の変などを織り交ぜ、見る人を楽しませる。
13年に織田信長を演じたアリオ・アフダさん(11年卒団)が信長役で再出演することが決まり、昨年末から本格的な練習が始まった。序盤はタイムスリップしてきた留学生らに警戒している信長だが、次第に心を開く。留学生の一人、アグン(ファジャルさん)が勝利を祈るバリダンスを踊ったり、日本人学生の啓輔(アガスさん)が落語を披露したりする場面もある。
本番では、上演前にアチェのサマンダンスや、くまモンダンスをステージで踊る。14日はサマンダンスを披露し、一糸乱れぬ動きでリズムに合わせて踊った。会場から「実際に見るのは初めて」「映像より迫力がある」といった言葉が飛び交った。
カーテンコール後にはen塾を代表する歌「桜よ〜大好きな日本へ〜」、劇中歌「消えゆくものへ」、人気歌手ゴンブロの「メラプティ」を団員全員で歌った。
参加者を代表して、11年からジャカルタでの本公演で照明として携わる秋元国俊さんがあいさつした。4年間活動を見守ってきた秋元さんは、団員との出会いを「縁」と伝え、団員らを激励した。
en塾は来月1日に訪日し、熊本、福岡でテレビやイベントへの出演も予定している。
日本公演は、来年から地方1カ所、東京1カ所の全2公演で、20年に東北地方で作品を上演するのが目標。東北公演で復興を祈って作られた「桜よ―」を披露して、日本縦断の活動を終える。
同劇団を率いる甲斐切清子さんは「先のことは未定」とした上で、「ひとまず日本の活動のゴールは、20年に東北に行くこと」と話した。en塾は昨年日本で初公演。安倍首相を表敬し、歌声も披露した。しかし甲斐切さんは、「en塾はあくまで学生のアマチュア劇団」と強調する。「ボランティアの協力で日本公演が進んでいる。自分たちの夢をかなえるために、頭を下げることの大切さ。いろんな人に力になってもらっていると、学生たちに知ってほしい」と話した。 (西村百合恵、写真も)