「税収達成は困難」 成長率予想は据え置き 世銀、四半期報告
世界銀行は18日、インドネシアの四半期報告を公表し、2015年の実質国内総生産(GDP)の成長率を昨年12月時の報告と同水準の5.2%と予想した。経常赤字や財政赤字、消費者物価指数などの経済指標を改善方向に修正したが、「5.5%以上の成長率を達成するためには、税収面などさまざまな改革が必要だ」と指摘した。16年は5.5%の成長を見込む。
世界銀行のンディアメ・ディオプ主任エコノミストは四半期報告会で「高い期待」と題し講演。「潜在性はあるが、政府の掲げる高成長を実現するにはまだ時間がかかる」と述べた。
主要輸出先である中国への輸出がここ1年ほどで落ち込んでいるため、「中国はかつてのように、輸出を見込める国ではなくなってきている」と指摘。
通貨安については、昨年の6月以降、他国通貨に対して、ルピアは高い水準を維持していることを例にあげ、「ルピアが弱くなっているのではなく、米ドルへの需要が高まっている」と分析。以前に比べてルピアの通貨価値は高まっているが、今後さらにドル高になる可能性のほうが大きいため、さらなる通貨安を示唆した。
政府予算について、昨年のGDP比で約3.5%あったエネルギー補助金を、今年は1%強に抑え、インフラ投資にまわしたことを評価。一方で、資源価格の下落による輸出減や、予算内の税収見通しが高すぎるため、歳入目標の達成が難しいと説明。歳出に修正が必要と指摘した。政府の目標を達成するには、付加価値税(PPN)など全体の税収の底上げが必要と強調した。
世界銀行のロドリゴ・チャベス・インドネシア代表は「インフラ投資を重視する政府の姿勢は評価できるが、現状以上の高成長を望む場合、税収を増やし投資に充てる必要がある」と強調した。
中央政府は今年の税収目標を前年比14.6%増の1489兆ルピアに設定している。世界銀行は資源価格の下落や低い徴税率のため政府の施策通りに歳入を見込めないと試算している。 政府は今年の成長率目標を5.7%、中銀は消費者物価上昇率3〜5%、経常収支赤字(対GDP比)3%以内に抑えることを目標にしている。