チリウン川と放水路連結へ 洪水被害軽減に期待 日本企業が着工

 洪水被害軽減のための東放水路と都心を流れるチリウン川を地下放水路(約1.3キロ)でつなぐ、日本企業による地下部分の工事が始まった。首都洪水対策の主要事業で、完成すれば被害の軽減が見込まれる。

 チリウン川と放水路の連結事業は国営建設ウィジャヤ・カルヤが公共事業省から50億円で受注。日本の機動建設工業とヤスダエンジニアリング、イセキ開発工機からなる共同企業体がウィジャヤ・カルヤから設計や機材の納入を16億円で請け負った。
 深さ約10メートルの地中に内部の直径3.5メートルのパイプを2本通すことで、チリウン川から毎秒60立方メートルの放水を可能にする。
 工法は縦穴から掘った横穴に輪切り状になったパイプを入れていき、押し込みながら埋めていく推進工法。両端と中央の3カ所に縦穴を掘り、両側から中央に掘り進む。東側からの掘進は始まっており、9月ごろには中央の縦穴へ到達する予定だが、西側の縦穴予定付近では土地収用が残っており、工事が始まっていない。
 イセキ開発工機によると、使用するパイプは同社が推進工法で掘削するパイプでは最大の太さ。パイプも長く、曲がりもあるなど「日本でも前例のない工事」(中野正明・機動建設工業社長)で困難も予想される。
 ジャカルタ南方で降った雨でチリウン川は毎年増水、洪水を引き起こしている。チリウン川の放水路では南ジャカルタのマンガライから伸びる西放水路が水を毎秒500立方メートルまで吸収することができる。
 2013年1月には西放水路が決壊し、都心や大統領宮殿が浸水。都市機能がまひした経緯があり、ユドヨノ前大統領が連結事業を加速させた。西ジャワ州ボゴールのチアウィダム建設とともに、首都洪水対策の主要事業で、完成すれば洪水被害を大きく軽減させると期待されている。(堀之内健史、写真も)

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