MRTに日本の経験を ブロックM開発で進展 都市交通セミナー
大量高速鉄道(MRT)建設事業で、州営MRTジャカルタのドノ・ブスタミ社長は10日、南ジャカルタ・ブロックM駅周辺の開発計画について、バスターミナルと駅を統合することで地権者と合意したと明らかにした。日本の知識や経験を生かし、MRT事業の関係者と協議を円滑に進めることを確認した。
日本の国土交通省、国際協力機構(JICA)、国家開発計画省(バペナス)が10日、中央ジャカルタのボロブドゥール・ホテルで開催した「日本・インドネシア都市交通セミナー」で明らかにした。
セミナーで、ドノ社長は「1980年以降、ジャカルタの交通量は毎年12%程度増加している。一方で、道路面積は1%以下しか拡張できていない」と説明し、MRTの重要性を強調した。
MRT事業では、南ジャカルタ・ルバックブルスとブロックMを結ぶファトマワティ通りの周辺住民が開発計画に反対したり、MRTを高架にしないとの公約に反したとして、アホック副知事(当時)を告訴したりするなど、地権者や住民との協働が問題になっている。
こうした問題について、日本側は開発計画を協議する「委員会」制度を紹介。開発コンサルタント会社などの担当者が、鉄道沿線の都市開発時に行政、地権者、ディベロッパーが協働して開発計画を話し合う場を設け、開発の円滑化を図る方法を説明した。
東京都や神戸市の取り組みを例に、鉄道の駅開発に伴い、周辺の歩行道や地下道なども同時に開発することで、駅にアクセスしやすくする事例も紹介された。
バペナスのバンバン・プリハルトノ運輸局長は「日本のように住民を巻き込んだ一体的な取り組みで、公共交通機関を発展する必要がある」と話した。
質疑応答では、バスから鉄道への利用変更を促す方法の質問があり、鉄道利用者への定期券の販売や、日本のガソリン税が都市計画にも使われており、それが中長期的観点からは利用変更を促しているなどの説明があった。
同セミナーは、ジャボデタベック(首都圏)の公共交通機関の開発に、日本の技術、経験を紹介することが目的で開かれ、今回が2回目。国土交通省の清水喜代志 ・官房技術審議官やJICAジャカルタ事務所の村岡啓道次長らが出席した。
(藤本迅)