バンドンでゲーム配信 素早くダウンロード バザール・エンタテイメント 若者多い学園都市に着目
新興国向けに米グーグルのアンドロイド・スマートフォン用ゲームコンテンツ配信事業を展開するバザール・エンタテイメント(東京都中野区)は、西ジャワ州バンドン市でゲームの配信実験を実施している。同社代表取締役の大和田健人さん(37)は 「ゲームを身近に楽しめる環境を提供したい」と意気込む。
同社は独自に開発した約6センチ四方の小型サーバー「マイクロデータセンター」を使用し、バンドン市内の大学生を対象にゲームを配信する。
インドネシアではスマートフォン用ゲームが浸透しつつある。今年第1四半期のスマートフォン販売台数は前年同期比68%増と大幅に伸びた。2013年のインターネット利用者数は前年比13%増の7119万人だ。しかし、第3世代(3G)や光回線といった高速通信網の普及率は全体の3%にとどまり、ネットインフラが十分に整備されていない。
そこで、同社はバンドン市内の若者が集まる場所を中心にゲームデータが入ったマイクロデータセンターを設置し、利用者の持つスマートフォンに内蔵された「Wi―Fi(ワイファイ)」を通じてゲームを素早くダウンロードできる環境を整備する。無料Wi―Fiを使えば通信料もかからないため、スマートフォンゲームの使用を促したいという。
実験に参加した学生(21)は「通常のダウンロードには約1時間必要だが、今回は数分だった」と驚いた様子で「何度でも試したい」と話した。
■若者が候補地選ぶ
同社は今年5月にテレコム大学、10月にはバンドン・ジャパン•フェスティバルでも配信実験を実施。大和田さんは「若者の反応が良く、手応えを感じた」と強調する
この事業はインドネシア人学生と協力し展開していく計画だ。学生がマイクロデータセンターの設置場所の候補地を検討し、さらに提供するゲームの種類も選ぶという。大和田さんは「バンドンの若者が主体となりこの事業を進めてほしい。将来的に生まれた利益を地元に還元することが大切だ」と語る。
大和田さんは日本の大手ゲーム会社で海外事業を担当していたが、12年に退職。13年からはアジア各地を周りゲームの認知度などの調査を実施した。
インドネシアではGDP(国内総生産)上位5都市から調査した。その中でバンドンは学園都市でゲームを利用する若者人口が多く、クリエーティブ産業が集約しており、事業展開に適していると判断したという。今年9月に妻子と移住し事務所を開設、今後はバンドンを皮切りに他の都市への展開も視野に入れる。 (小塩航大、写真も)