海洋協力で事務協議へ 安倍首相と初会談 オバマ大統領とも会談 ジョコウィ大統領
アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のため北京を訪問中のジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は10日、同市内で安倍首相と初めて会談した。ジョコウィ大統領の「海洋国家」構想を踏まえ、港湾整備や海上保安能力の向上など海洋分野の具体的な協力に向け、事務レベルの協議を立ち上げることで一致した。大統領は早期に訪日したい意向を示した。
■「誠実な仲介者」
安倍首相は同じ海洋国家として、ジョコウィ大統領と緊密に協力していきたい考えを伝えたほか、開かれた自由で平和なアジアの海の重要性を改めて強調した。ジョコウィ大統領も海における法の支配が重要との認識を示した。
東南アジア諸国連合(ASEAN)に加盟するベトナムやフィリピンが中国と対立する南シナ海の領有権問題について安倍首相が、ASEANが一体となった対応が重要との見方を示すと、ジョコウィ氏は「誠実な仲介者としての役割を担っていく」と述べた。
経済分野でジョコウィ氏は「両国は補完関係にあり、互いを信頼している。相互に利益を享受できるような関係を強化していける」と指摘。日本からの製造業への投資拡大やインフラ整備に対する期待を表明した。安倍首相は未精錬鉱物の輸出を禁じた新鉱業法などの懸案に触れ、互恵関係全体を踏まえて解決していきたいとの考えを伝えた。
安倍首相はこのほか、持論である「積極的平和主義」など、安全保障政策などについて説明。ジョコウィ大統領も国連平和維持活動(PKO)参加などを通じて世界の平和にインドネシアが貢献していることを紹介した。
■「並外れた役割」
ジョコウィ大統領は米国のオバマ大統領とも会談した。現地からの報道によるとオバマ大統領は、世界最大のムスリム人口を抱えながら7月の大統領選挙を平和裏に成功させたことなどについて「世界最大の民主国家の一つであり、世界最大のムスリム人口を抱えるインドネシアが、多元主義と民主主義を推進する上で、並外れた役割を果たしていることに感謝したい」と述べた。
ジョコウィ大統領は南シナ海問題などを念頭に、安全保障問題で米国との協力の継続が必要と述べた。(道下健弘)