日本人トリマー常駐 クマンにドッグサロン開店 「ウォッカ&ラテ」
日本人トリマーがグルーミング(被毛の手入れ)を行うインドネシア初のドッグサロン「ウォッカ&ラテ」が南ジャカルタ・クマンに7日グランドオープンする。サロンの他にドッグラン、ドッグプール、ホテルなどが併設された複合型施設で、愛犬家のインドネシア人や日本人の間で早くも評判になっている。
施設は外国人が多く住むクマン地区の一角にある。屋内には全面ガラス張りのサロンスペースがあり、日本人トリマーの宮原辰一郎さん(28)がトイプードルをグルーミングしていた。その後ろではインドネシア人スタッフがシーズーをシャンプーしている。
「こういう場所ができてうれしいと言われました」と宮原さんは話す。施設には犬を一時預かりするホテルやカフェ、日本から輸入した関連商品が並ぶショップなどがある。屋外には犬を遊ばせるためのドッグランと水中運動用の長さ10メートルほどのプールがある。これだけの規模の犬専用施設はインドネシアでは初めて。
設立のきっかけは、自分でも犬を飼っているインドネシア人オーナーが、東京・代官山などで見たドッグサロンに感動したことからだった。イでは安心して犬を預けられる場所がない。加えてイでの犬の生活環境全体を上げたいという思いもあり、日本側スタッフに協力を要請し開設した。
9月にソフトオープンし、現在来客の7割がインドネシア人で日本人、欧米人が続く。イ国内でもペットを飼う層が増えてきた。また最近、日本人駐在員がペットを連れて赴任するケースが増えている。現場スタッフはもう1人の日本人トリマー、鈴木優也さん(30)含めて約15人。
受付した犬はグルーミングの前に、皮膚の状態やノミやダニなど健康面をチェックする。その上でシャンプー、リンスをし毛を乾燥させた後カッティングに入る。爪切りや耳掃除などもトリマーの仕事だ。このきめ細かい日本流の作業が、愛犬家の間で評判になっている。
鈴木さんは「ただカットをしているのではなく、犬を通じて飼い主と会話をすることが大切です」という。事前のチェックで病気が見つかるケースもあるという。初めて犬を触るスタッフも多く、準備期間中は「犬との接し方から時間をかけて教えていきました」と宮原さん。犬がほえただけで驚いていたスタッフも、今ではシャンプーを任せられるようになった。
依頼される犬種はインドネシア人ではシベリアンハスキーやミニチュアシュナイザーなどの大型犬が多く、日本人からはトイプードル、ミニチュアダックスフンドが多い。人気の犬種は日本で10年前に流行したものと近いという。
シベリアンハスキーを連れて来店したクマン在住の主婦チリさん(58)は「東京に留学している娘から日本人トリマーの技術は高いと聞いていた。プールもあり驚いた」と話した。営業は午前9時〜午後8時、無休。(阿部敬一、写真も)