日イの思い一つに 「ジャパン・フェスティバル」初開催
北ジャカルタ・クラパガディンにあるモール「ラ・ピアッザ」で1、2両日、日イ交流イベント「ジャパン・フェスティバル・イン・インドネシア」が開かれた。青柳陽一郎・衆議院議員が実行委員長を務める官民一体のイベント。屋内外のステージやブースがにぎわいをみせた。メーンステージでは、日本から音楽グループ「爆風スランプ」の元メンバーである「サンプラザ中野くん」さんやパッパラー河合さんらが出演。大ヒット曲「Runner」を一部インドネシア語に変えて披露、観客と一体となってフェスを盛り上げた。
青柳議員によると、毎年、東京渋谷区・代々木公園で開かれている「ベトナムフェスティバル(2008年から)」や「アセアンフェスティバル(13年から)」、ベトナムの「ジャパン・フェスティバル・イン・ベトナム(06年から)」の流れを受け、インドネシアでの開催を決めた。
日本政府は成長著しいASEAN(東南アジア諸国連合)地域の発展をODA(政府開発援助)などで支援、ポップカルチャーなどで日本文化を伝える「クールジャパン」にも力を入れている。アニメやコスプレ、日本食、音楽、サッカーなどのコンテンツをまとめて紹介するプラットフォームを作り、さらに交流を深めることが狙い。テーマに「日イ交流の輪」を掲げ、青柳氏は「インドネシア人にクールジャパンを感じてもらい、訪日のきっかけや発見ができる機会にできればうれしい」と思いを語った。
会場では、屋内の出展ブースと屋外にある飲食ブース、メーンステージでのパフォーマンスがあり、インドネシア人から駐在する日本人まで日本の文化を楽しめるものをそろえた。
屋内では、旅行代理店のJTBや日本政府観光局(JNTO)、地方自治体とともに箱根や日光、北海道、大阪といった観光促進のブースを出展。熊本県からはアームレスリング団体「筋肉愚連隊」などが出展。サッカー関連の「横浜フットボール映画祭・イン・ジャカルタ」も同時開催し、トークショーではサッカーJ1のヴァンフォーレ甲府に所属するイルファン・バフディム選手に関する質問が相次いだ。
メーンステージではコスプレ大会や来場者も参加できる「ラーメン早食い競争」などが開催された。また日イの歌手やグループの音楽ライブを開き、交流を深めた。同フェスは来年も開催を予定しているという。(山本康行、写真も)
■ 「サンプラザ中野くん」熱唱 「Runner」前進する力に
1日夜のライブでは、特別ゲストとして爆風スランプの元メンバーの「サンプラザ中野くん」さんとパッパラー河合さんが初のインドネシアでライブを実施。バラードの「大きな玉ねぎの下で」や名曲「Runner」など約1千人の観衆の前で計4曲を披露した。曲中には「サヤ・チンタ・ジャカルタ(私はジャカルタを愛しています)!」と叫び、「『Runner』のサビ部分をインドネシア語で歌います」と話すと会場から歓声がわき起こり、冗談を交えながらのマイクパフォーマンスで笑いを誘った。
西ジャワ州デポックから友だちと来たジェミーさん(25)は「コミカルで楽しい人。サビもインドネシア語で歌ってくれてうれしかった」と感想を述べた。「またジャカルタに来てほしい」。
ライブ終了後、「サンプラザ中野くん」さんは「自分のペースでライブができた。皆さんの反応がよく、楽しいライブになった」と振り返る。バラード曲はインドネシア人が好むと聞いていて曲目に選んだ。「Runner」のインドネシア語のサビは、以前開催したベトナムでのイベントで現地語に訳し、盛り上がったことがきっかけ。「ゆくゆくはすべての歌詞をインドネシア語にしてみたい」と意気込みを語る。一方で「最近は、インドネシア人で日本語を勉強している人も増えている。日本に憧れを持ってくれている。今はこの国で日本語をそのまま披露できる環境にある」と話した。
「『Runner』は前向きな曲。発展していくインドネシアの前進する力になればという気持ちで歌った」